エリザベス・ジョージ『大いなる救い』
book-39 『大いなる救い』 エリザベス・ジョージ著 ハヤカワ・ミステリ文庫
STORY:イギリス・ヨークシャー州の農場で首を斧で切り落とされた農夫の死体が発見された。そばには「自分がやった、だが後悔はしていない」とつぶやく娘がいたが、それっきり心を閉ざし、精神病院に入れられてしまう。スコットランドヤードから派遣されたリンリー警部とハヴァーズ巡査部長がたどりついた真実とは。
☆☆☆超エリートで、貴族出身、美男と非の打ち所がない警部と、労働者階級出身で家族の問題で苦しむ女性刑事の対比がおもしろいミステリー。リンリーはあまりにめぐまれ(すぎ)ているので、どちらかというとハヴァーズに感情移入してしまいそうだ。このほか、リンリーの運転する車の事故で片足を失った鑑識の専門家である友人、かつてはリンリーの恋人であったその妻、友人の元で働く現在の恋人、とリンリーをとりまく人物関係が今後楽しみになりそうなシリーズだ。
事件自体は救いようもなく暗く(題名のとおり、ラスト数頁で救いはあるものの)、読み進めていくうちにやりきれない気持ちになる。最後に救いはあってもあまりに衝撃的であるために決して読後感はよいとは言えない。が、ストーリーテリングのうまさもあって一気に読めてしまうし、次も読んでみたいと思わせる。単純な犯人あてミステリーが好みの人にはむかないかもしれないが・・・
大いなる救い エリザベス ジョージ Elizabeth George 吉沢 康子 早川書房 1998-11 by G-Tools |
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