エリザベス・ジョージ『消された子供』
本日の本
book-6 『消された子供』上・下 エリザベス・ジョージ著 ハヤカワ・ミステリ文庫
STORY:娘を返して欲しければ、新聞の1面で第一子であることを認めよ。タブロイド紙の編集長デニスの元に脅迫状が届く。娘は内務次官である議員のイーヴリンとの間に生まれた私生児だった。スキャンダルを恐れるデニスたちは警察の介入をこばみ、鑑識専門家セント・ジェームズに調査を頼むが。
☆☆☆貴族刑事リンリー警部&バーバラ・ハヴァーズ部長刑事シリーズ8作目。
いつも通り、なんとも暗く、救いのないお話である。
半分近くまで、リンリーとハヴァーズは登場せず、誘拐された娘の父と母の視点で描かれる。調査を頼まれた、リンリーの友人セント・ジェームズとその助手でリンリーの恋人ヘレンがちらちらと出てはくるが、正直言って、リンリーとハヴァーズが出てくるまでは読み進めるのがしんどい。
が、2人が登場してからぐんぐんおもしろくなり、一人地方に派遣されたハヴァーズが孤軍奮闘する下巻に入って俄然読むスピードが早まる。ハヴァーズには最後に大立ち回りも用意されており、大活躍。ハヴァーズファンの私としてはうれしい。
有能な女性政治家イーヴリンは実に冷たい女性として描かれており、しっぺかえしをくうかのような末路が用意されているし、結末では、ここで描かれる犯罪の引き金となったのがある女性の悪意のない嘘だったことがわかり、この作者、なかなかに恐い。
この作品で、日本に紹介されたリンリーシリーズは終わりだが、続きも出してくれないものだろうか?そして、イギリスBBCでは「The Inspector Lynley Mysteries」をやっているらしい。これもミステリーチャンネルあたりでやってくれないかなあ。
![]() | 消された子供〈上〉 エリザベス ジョージ Elizabeth George 天野 淑子 早川書房 1999-08 by G-Tools |
![]() | 消された子供〈下〉 エリザベス ジョージ 天野 淑子 早川書房 1999-08 by G-Tools |
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