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2008/11/24

【ヴィルヘルム・ハンマースホイ展】

art-11 【ヴィルヘルム・ハンマースホイ展】 国立西洋美術館
0811241
ずっとみたいと思っていた展覧会にようやく行くことができた。
先週、仕事が一つキャンセルになり、ふと時間があいたので、思い切って2時間休みをとって行って参りました。

もしやと思ってはいたが、やはり・・・平日だというのに結構混んでいて・・・新日曜美術館で放送したし、もうすぐ終わってしまうからなんでしょうね。

ヴィルヘルム・ハンマースホイはデンマークの画家(1864-1916)で、忘れかけられていたのが近年また脚光を浴びているとのこと。
今までこの画家のことを全然知らなかったのだが(実際は見たことはあったらしいが)、秋にフェルメール展に行った際、妙に惹かれてしまい、看板を見てこれは行かねば!と思ったのだった。

まずは、紹介ビデオを一通り見てから会場へ。

Ⅰ.ある芸術家の誕生
妹アナやのちに妻となるイーダの肖像など、すでにハンマースホイに特徴的な絵がある。
若くして、このスタイルがすでに確立していたのかもしれない。

Ⅱ.建築と風景
コペンハーゲン、中でもクレスチャンスボー宮殿を描いた絵が多いが、どれも静かな絵。人っ子一人いず、早朝なのか?と思ったりするが、わざわざ人を排して描いたらしい。
不思議な空間の絵である。

Ⅲ.肖像
ハンマースホイは頼まれてもあまり肖像画を描かなかったという。
「3人の若い女性」など、よくよく見ていると奇妙な構図のように思えるが、見てびっくりしてしまうのは「イーダ・ハンマースホイの肖像」。妻イーダは絵の中にしばしば出てくるが、ほとんどが後ろ姿で、正面を向いているのはあまりない。この絵、イーダが生活に疲れ切ったよう、そして年齢以上に老けて見える。なぜこんな姿を描いたのか・・・後ろ姿だけでよかったのではと思ってしまった。

Ⅳ.人のいる室内
このコーナーは、この展覧会の一つの山場。
繰り返し描いた、自宅ストランゲーゼ34番地の室内である。それも、多くは妻イーダの後ろ姿が描かれる。
ピアノの足が1本足りないとか、光の具合とか細かく見ると不思議な点もたくさんあるのだが、そんなことは全然気にならない。見ていると気持ちが落ち着いてくるから不思議だ。

Ⅴ.誰もいない室内
このコーナーが実は、Ⅵのあと、最後の部屋にある。
本当に誰もいない室内が描かれた絵の数々が並ぶ。
Ⅳではまだ妻の姿があったが、ここでは妻の姿すらない究極の絵。
白と、グレーと、黒と、モノトーンで描かれた絵の数々だが、このコーナーが一番よかったかも。扉だけが描かれた絵が気にいりました。

Ⅵ.同時代のデンマーク美術
ハンマースホイに関係のあった2人のデンマーク画家の絵が飾られる。
この2人には、色彩があって、そうか、デンマーク自体がモノトーンの世界だったわけじゃないのね、とあらためて思った次第。
この2人の絵もいいのだが、これだけハンマースホイを見てしまうと、色合いがない方が美しいのにと思ってしまうのが不思議。

やっぱり行ってよかったな、この展覧会。
静寂の画家、ハンマースホイ。見る前は、寂しすぎる絵なのではと思っていたが、そんなことはなく、不思議と居心地のよい絵でありました。

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