アン・クリーヴス『大鴉の啼く冬』
本日の本
book-1 『大鴉の啼く冬』 アン・クリーヴス著 創元推理文庫
STORY:新年を迎えたシェットランド島。雪原で真っ赤なマフラーで首をしめられた黒髪の少女の死体が発見される。8年前の少女失踪事件の容疑者となった知的障害のある老人が疑われるが・・・
☆☆☆☆シェットランド協奏曲第1弾。
骨のある作品。決して読みやすくはないけれど、読んだあとの充実感。
シェットランド諸島を舞台にしたミステリーというはめずらしい。荒涼とした寂しい感じはミステリーにぴったりという気がするけれど、多分、ここを舞台としたミステリーははじめて読んだと思う。
そして、4部作からなる1作目の季節は冬。これは冬に読むのにぴったりかも。
暗い空、寒い風、冷たい海のしぶき、そして真っ白な雪。風景が頭の中に浮かび上がってくるが、そこに、赤いマフラーで首をしめられた黒髪の少女。周囲には真っ黒な大鴉・・・
絵のような光景ではじまるこのミステリー。雰囲気がいいですね。
ミステリーとしてもいい構成。ワタクシ、すっかりだまされました。
閉ざされた島での事件ということで、容疑者は限定されるものの、ミスリードにひっかかり、ラスト、犯人が明かされた時にはびっくり。なるほど、最後になって、犯人の動機にもなるほどと思いましたね。
あとから読み返すとちゃんと伏線は張ってあるのだけれど、まったく気づかず・・・
これはしっかりした本格物でありました。
2作目も読んでみよう。
« 「容疑者Xの献身」 | トップページ | 【ボルゲーゼ美術館展】 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 有栖川有栖『月光ゲーム Yの悲劇’88』(2024.09.05)
- ブルース・アレグザンダー『グッドホープ邸の殺人』(2024.08.26)
- E・S・ガードナー『偽証するオウム』 (2024.07.13)
- ダシール・ハメット『ガラスの鍵』 (2024.06.22)
- ジャネット・イヴァノヴィッチ『私が愛したリボルバー』 (2024.05.18)
コメント