「父親たちの星条旗」
本日の映画
movie-16 「父親たちの星条旗」 Flag Of Our Fathers 2006年米
DIR:クリント・イーストウッド
CAST:ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ、ジェイミー・ベル、バリー・ペッパー、ポール・ウォーカー、ロバート・パトリック
STORY:第二次世界大戦末期、硫黄島に上陸したアメリカ軍は日本軍の抵抗に苦しめられ、戦闘が長引きつつあった。そんな中で、擂鉢山の頂上に掲げられた星条旗の写真がアメリカ中を熱狂させ、星条旗を掲げた6人のうち生き残った3人の兵士たちは一躍英雄に。戦時国債キャンペーンにかり出された3人はアメリカ各地をまわるのだが。
☆☆☆☆硫黄島の戦いをアメリカ側と日本側から描いた映画2部作の1作目。
当然ながら、「硫黄島からの手紙」とはまったく様子の異なる映画である。
色を落とした画面での戦闘場面は共通するし、両方の映画で、敵の姿をほとんど写さないという手法は同じ。
が、視点はまったく異なる。
こちらの映画では、写真に登場する1人、ジョン・ブラッドリーの息子が書いたノンフィクション『硫黄島の星条旗』を元にしたエピソードが語られる。
硫黄島の星条旗の写真は見たことがあるが、こんな隠れたエピソードがあったとは・・・今まで知らなかった。
戦費調達のためのキャンペーンに利用しようとしたアメリカ政府に、英雄に祭り上げられてしまう3人の若者たち。彼らは、戦場から祖国へ連れ戻され、アメリカ各地で熱狂的に迎えられる。自分の意志とは関係なく・・・
彼らは苦悩する。
自分たちは、ただ旗を揚げただけなのに、仲間たちは皆死んでいったのに自分は生き残って、こうして英雄として扱われている・・・
かくして、ジョン・ドク・ブラッドリーは、何も語らなくなり、みんなにちやほやされることに有頂天になっていたかに思えたレイニーも、戦後すっかり忘れられて平凡な人生を送ることになる。
しかし、もっとも悩みが深かったのが、ネイティブアメリカン出身のアイラ。望んでいなかった栄光に人種差別の悩みも加わり、アル中で身を持ち崩してしまうのだ(演じたアダム・ビーチがいい。「ウィンド・トーカーズ」も見てみなくては)。
激しく厳しい戦いの場面と、アメリカ各地キャンペーンでの人々の熱狂ぶりが交互に映し出され、次第に虚無感が増していく。
英雄なんてものはいらない、英雄とは人間が必要にかられて作るものだ・・・
ラスト近く、流れてくるナレーションが胸にずしりとくる。
こういう視点で描く戦争映画は貴重だし、日米双方の視点から描いたという点もすばらしい。
重くてつらい映画だが、是非、2本とも見るべきだろう。
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