「さよなら。いつかわかること」
本日の映画
movie-4 「さよなら。いつかわかること」 Grace Is Gone 2007年米
DIR:ジェームズ・C・ストラウス
CAST:ジョン・キューザック、シェラン・オキーフ、グレイシー・ベドナルジク、アレッサンドロ・ニヴォラ、マリサ・トメイ、メアリー・ケイ・プレイス
STORY:スタンレーのもとに、イラクに出征中の妻グレイスの戦死のしらせがもたらされる。途方にくれたスタンレーは娘2人に事実をつげられぬまま、突如娘が行きたがっていたフロリダの遊園地に向けて車を走らせる・・・
☆☆☆☆イラク戦争の一つの悲劇。
冒頭、ホームセンターで働くスタンレーがうつるが、はじめこれが誰だかわからなかった。
J・キューザック、かなり体重を増やして、もっさりしたさえないお父さんになりきっているのだ。
ほどなく、妻の戦死が知らされるが、あまりに突然でスタンレーは気持ちの整理がつかない。
昔だったら、妻に夫の戦死が伝えられるという展開だっただろうけれど、逆だというところが新しい。実際、今は女性の軍人さんも多いから、こういうこともきっと多いのだろう。
スタンレーは、どうしても娘たちに戦死の事実を伝えることができず、衝動的に旅に出てしまう。娘たちとはしっくりいかないまま、はじめはぎくしゃくとした関係がさらに痛々しい。
不器用なスタンレーは娘たちとどう接していいかわからなかったのだろう。
旅を続けるうちに、お互いの距離が縮まるのだが、なかなか事実を伝えられないスタンレーの苦悩は深まる。
何も知らずに無邪気に遊ぶ二女の姿も痛々しいし、母親の死を察知し、しかし知らないふりをする長女の姿はもっと痛々しい。
ストーリーは淡々と進んでいき、ようやくスタンレーが意を決して子供たちに話をしようとする場面以降は、声も聞こえなくなり、静かに映画は終わる。
声高に反戦を叫ぶわけではなく、否定するわけではない。
戦闘の場面も出てこない。
けれど、戦争の空しさは十分伝わってくる。
製作も担当したキューザック、なかなかいい映画を作るなあ。
音楽は、なんと自作以外ではじめて提供したというクリント・イーストウッド。静かな音楽がいい。
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