【牛島憲之-至高なる静謐-展】
art-14 【牛島憲之-至高なる静謐-展】 渋谷区立松濤美術館
牛島憲之展をやっているということで、はじめて渋谷区立松濤美術館に行ってみた。
あれ、ここ渋谷?という閑静な住宅街にある美術館で、開館30年を迎えたとのこと。そこで、渋谷区ともゆかりの牛島憲之の回顧展が開催されることになったそうである。
牛島憲之の作品は、時々行く府中美術館に記念館があって、よく目にしていて(よくスケッチに出かけた府中に多くの絵が寄贈された)、まとまって見てみたいなと思っていたのだった。
展示室は地下1階と2階に別れているが、地下~2階へと、年代を追って展示してあるので、変遷がとてもわかりやすい。学生時代の作品から絶筆となった作品まで。
初期はやや片鱗はあるものの、やはり作風は違う。色がくっきりしているのだ。色が鮮やかな作品が多く、これはこれで悪くない。
熊本の貝焼場を描いた「貝焼場の風景」及び千葉の貝焼場を描いた「貝焼場(午後)」は印象的だ。
第二次世界大戦の頃、次第に作風が確立されていくが、ターニングポイントになったのは昭和21年の作品「炎昼」だと言う。
淡い色、絵に漂う静けさはまさにこの画家の絵である。
その後、絵の対象物は工場、タンク、橋などが多く(後期は若干テーマは広がるが)、独特の雰囲気を醸し出す。
こうした、人工的な建造物がはえるんですね。
人はあまり描かれず、描かれていてもぼんやりとしていて、静けさというより寂しさを一瞬感じるが、柔らかな色彩で、見ているうちに穏やかさと暖かさも感じる。
なかなかいい展覧会でした。
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