【世紀末、美のかたち展】
art-29 【世紀末、美のかたち展】 府中市美術館
府中市美術館で開催されている【世紀末、美のかたち展】に行って参りました。
府中市美術館は、うちから車ですぐなので、その気になればひょいと行ってこられるのが便利。
休日だが、案外すいていて、快適。
世紀末(19世紀末)の芸術・・・絵画、ガラス工芸をリンクさせつつ見せる展覧会で、発想がおもしろいですね。
◆自然とかたち
まずは、ミュシャの2枚、「百合」と「アイリス」がお出迎え。他、カーネーション、バラの4枚セットだそうで、どうせならあとの2枚も並んでいてほしかった・・・ミュシャの装飾は世紀末な感じ。
そして、ポスターにも描かれている、ラリックのブローチ「羽のあるニンフ」。ゆるやかな線が優しく、かわいらしいブローチ。レプリカでもいいから欲しいなあ。
ガレ、ラリック、ドーム兄弟のガラス製品が並ぶ中、気に入ったのが、ラリックの「蓋物 二人のシレーヌ」。オバルセント・ガラスなのだが、基本、乳白色の中にうっすらと青みがかかって美しい。他に2点ほどオパルセント・ガラスの作品があったが、気品があって美しい。
◆文字を刻む
この時代、絵画や工芸品の中に文字を刻むことがあったらしい。絵画などと比べて低い地位しか与えられていなかったガラス工芸の地位を高めようという意味あいもあったとのこと。
ガレの「好かれようと気にかける」がおもしろい。トンボを食べようとしているカエルがトンボに好かれようとしているのか・・・ユーモラスだ。
文字といえば、ポスターで、定番、ミュシャのポスターも3枚。ミュシャといえば、やはりサラ・ベルナールですね。
◆異形の美
このパートのガラス工芸は、まさに異形というか、ちょっと気色の悪い生物がモチーフになっている。蜘蛛、とかげ、いそぎんちゃく・・・おもしろいけれど、家にあったらあまりうれしくないというか(笑)。ガレの「中傷」、ラリックのデカンタ「6つの顔」などとても不気味。
ガラス工芸とともにルドンの版画作品集「聖アントワーヌの誘惑」のいくつかの作品が並んでいたが、これがまた奇妙というか不気味というか怖いというか。ぞくっとくる。
グロテスクな作品たち、当時はどう思われたのだろう。
◆光と闇
引き続いてルドンの版画集が並ぶが、その中でパッと目に入ってきたのが、ルドンの「眼をとじて」。海のような砂漠のようなところから眼をとじた人物がぬっと出ている絵なのだが、色合いも含めて幻想的。不思議な絵だが目をひく作品。
そして、最後に楽しみにしていたドニの版画。この展覧会、ドニが展示されていると聞いて行ってみようと思ったんである。最初の妻マルトがモチーフになっているのだが、絵よりも淡い色彩で、さらに柔らかな感じ。
アール・ヌーヴォーの展覧会?
いえいえ、その枠にとらわれない展覧会でありました。
常設展示は、「明治・大正・昭和の洋画」。
牛島憲之記念館も作品が入れ替わっているようなので、こちらも併せて是非!
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