ピーター・トレメイン『修道女フィデルマの洞察』
本日の本
book-55 『修道女フィデルマの洞察』 ピーター・トレメイン著 創元推理文庫
STORY:修道女フィデルマが、殺人者として捕らえられた美男の修道士の弁護をすることになる「まどろみの殺人」他、全5編からなる日本オリジナルの短編集。
☆☆☆☆修道女フィデルマシリーズ短編集第二弾。
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ王女である修道女フィデルマが探偵役をつとめる。
前作で7世紀のアイルランドという物語の舞台にも慣れて、すっと入っていけた。
この古代アイルランドという舞台がとても魅力的。
気候風土、宗教観、勉強になりますね。
そして、この時代のアイルランドでは、女性が男性とほぼ同等の権利を得ていたというのも驚き。もっとも、フィデルマも少なからず、女性ゆえに軽んじられたりもするのだが。
しかし、フィデルマはそんな偏見をものともせず、相手をびしっとやりこめてしまうところが頼もしい。
ミステリーとしても、第一弾短編集よりレベルの高い作品がそろっていて読み応えがある。
法の正義を優先させるか、人としの正義をとるのか。あるいは弁護士としての役目を果たすか、信仰を優先させるのか。悩んだ末にフィデルマはどのような結論を下すのか・・・
余韻の残る「奇蹟ゆえの死」、「晩祷の毒人参」が味わい深い。
長編にもチャレンジしてみるとしますか。
« 「モーターサイクル・ダイアリーズ」 | トップページ | カサ・ド・ヴァージュ ブランコ ヴィーニョ・ヴェルデ »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ロバート・B・パーカー『ゴッドウルフの行方』 (2024.10.01)
- 有栖川有栖『月光ゲーム Yの悲劇’88』(2024.09.05)
- ブルース・アレグザンダー『グッドホープ邸の殺人』(2024.08.26)
- E・S・ガードナー『偽証するオウム』 (2024.07.13)
- ダシール・ハメット『ガラスの鍵』 (2024.06.22)
コメント