「ブリューゲルの動く絵」
本日の映画
movie-3 「ブリューゲルの動く絵」 The Mill&The Cross 2011年ポーランド・スウェーデン
DIR:レフ・マイェフスキ
CAST:ルトガー・ハウアー、シャーロット・ランプリング、マイケル・ヨーク
STORY:16世紀のフランドル地方。画家ブリューゲルは友人ヨンゲリンクから、異端者の迫害と支配者の横暴を題材とした絵の注文をうける。ブリューゲルはフランドルの風景の中に十字架を背負うキリストの絵を描き始める。
☆☆☆ブリューゲルの「十字架を担うキリスト」を題材とした映画。
ブリューゲルの作品はたくさん見ているはずだが、この絵はほとんど印象になかった。
見てなかったっけ?と思ったら、ちゃんと見てるではないですか!
ウィーンの美術史美術館の「バベルの塔」の隣にあったんですね。うーん、覚えてない・・・
この絵と題材とした映画というからどんなだろう?と思ったら、不思議な映画だった。
まさにこの絵を実写化してるんですね。
絵の登場人物が動き出す不思議!
映画に劣らず、この絵自体も不思議なのだ。
パッと見、聖書ではおなじみのゴルゴダの丘に十字架を背負って上がっていくキリストを描いたものなのだけど、まずもって、当時のフランドルの風景の中にキリストがいるし、当時よく行われていたという車輪刑(残酷!)の装置がたくさん描かれているし、キリストが主題にもかかわらず、兵士に無理矢理イエスのかわりに十字架を背負わされそうになっているシモンに皆の視線がいっていてイエスには誰も注目いていない・・・
その他、この絵をすみずみまで細かく見ていくと、不思議がいっぱいだ。
そうそう、映画でも重要な役割を果たしていた、高い岩山の上に立つ風車小屋も印象的。
いやでも、今度現物を見る機会があったら、是非細部までじっくり見るとしよう。さらに新しい発見がありそうだ。ブリューゲルの絵ってたくさんの人物が細かく描かれてるから、ずっと見ていても飽きませんもんね。
映画は、こうした絵を少しずつ切り取ってどういう場面かを再現してくれる。
なるほどねー、こういう意味があったのか、この当時こういったことが行われていたのか・・・と感心することしきり。風俗的にも興味深い。
キャストもいいですね。意外なほどブリューゲルにぴったりのR・ハウアー、聖母に悲しい目が印象的なS・ランプリング。ブリューゲルに絵の注文をする人物に、お久しぶりのM・ヨーク。ずっと見ていなかったけれど、「三銃士」、「オリエント急行殺人事件」、「ナザレのイエス」なんかが懐かしい。
ブリューゲルのこの絵自体を知らなくてもOKとは思うが、できればブリューゲルについて一通り知識があった方が楽しめると思う。
絵の中に入り込んだような、シュールな体験のできる映画でありました。
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