【セザンヌ-パリとプロヴァンス展】
art-23 【セザンヌ-パリとプロヴァンス展】 国立新美術館
国立新美術館で開催中のセザンヌ展に行って参りました。
思ったほど混んでいなくてホッ。
セザンヌは大好きな画家なのでとても楽しみにしていた展覧会。
副題にもあるように、何度も行き来していたパリとプロヴァンスでの絵を対比しつつの展示。
オレンジの線がひいてある作品はプロヴァンスで制作されたもの、青い線がひいてある作品はパリやイル・ド・フランスで制作されたものとのこと。
Ⅰ 初期
どんな画家でもそうだが、はじめからまさにこれこそこの画家の絵だとわかるようなものを描いていたわけではなくて、セザンヌの若い頃もそう。いろいろな画風の絵があって、これぞセザンヌという絵はまだほとんどない。
静物画もまだ構図のゆがみはなくて、ごくごく普通。パレットで厚く塗り込められていて、これが初期の特徴だそう。
父親がエクス=アン=プロヴァンス郊外に建てた別荘の大広間に描かれた作品の中から何点かがきていたが、どれもセザンヌっぽくはない。連作「四季」、これ、誰かの絵に似てるのだが思い出せない・・・おや?アングルと署名があるなと思ったら、どうやら遊び心で署名したらしい。
「サント=ヴィクトワール山と水浴の女たち」という絵は後年重要なテーマになる2つの組み合わせでちっちゃな絵だが、なかなかいい。
Ⅱ 風景
セザンヌの風景画というと、なんといってもサント=ヴィクトワール山のイメージだが、パリ近(オーヴェル=シュル=オワーズやフォンテーヌブローなど)の風景も多い。
初期の頃の絵は、色彩もセザンヌ的でなかったりするが、画面の構成はやはりセザンヌ。
家、木、水、山、道。独特だ。
エルミタージュのサンロ=ヴィクトワール山は以前に見たことがある気がするが、フィリップス・コレクションのははじめて。油彩だが、ちょっと水彩っぽい感じで、淡い色がいい。同じサント=ヴィクトワール山といってもいろいろだ。1枚でも多く見たいなあ。
Ⅲ 身体
パリで描かれた身体の画で印象的なのは、「聖アントニウスの誘惑」の2枚だろうか。アントニウスを誘惑する女性が妖しい感じだ。「永遠の女性」は退廃的なムードが漂う。
プロヴァンスで描かれた身体画は、やはり水浴画。
人物と風景のバランス、調和を計算しながら描いたのだろうか。
Ⅳ 肖像
セザンヌ、肖像画も結構描いている。
パリでは家族、友人や支援者の肖像画を、プロヴァンスでは農民や庭師などの肖像画を描いたという。
「自画像」が迫力!ブリヂストン美術館にある自画像の方がいいなあと思うけれど。
どの肖像画も力強い感じなのだけど、特に農夫の絵は小さな顔、大きな手、太い足とバランス的には少々変なのだが、何か目をひくものがある。
Ⅴ 静物
セザンヌといえば、やっぱり静物!
幾何学的な配置、ゆがんだテーブル、多面的な視点。キュビズムのはしりとも言われる構図がおもしろい。
オルセーの「りんごとオレンジ」、これは素晴らしい。色調も構成も・・・
レ・ローヴのアトリエが再現されていたが、ちょっときれいすぎたなあ。エクスに行ったら是非是非ほんもののアトリエを訪ねてみるべし!である。
Ⅵ 晩年
最後まで創作意欲が衰えなかったというセザンヌ。
最後にセザンヌの面倒をみていた庭師ヴァリエの絵や、サント=ヴィクトワール山がここにも。
この晩年のサント=ヴィクトワール山は粗いモザイク画のようで、だいぶ抽象的になっていた。
国内過去最大級の規模のセザンヌ展だそうだが、確かにこれだけの作品、なかなか見られませんね。
大満足!
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