キャロル・オコンネル『愛おしい骨』
本日の本
book-14 『愛おしい骨』 キャロル・オコンネル著 創元推理文庫
STORY:2人の兄弟が森へ行き、戻ってきたのは兄一人。20年ぶりに帰郷した兄オーレンを待っていたのは、弟の骨がひとつ、またひとつと家の前に置かれている謎だった。
☆☆☆C・オコンネルの『クリスマスに少女は還る』以来のノンシリーズ。
読み始めてすぐは読みづらい。登場人物が多いのもあるけれど、共感できる人物が少ないというのもある。
主人公もしかり。どうも入り込めなかったのだ。
登場人物もみな癖があるというか、奇っ怪な人物ばかりで、どこに感情移入すればいいかとまどう。
狭い街での出来事が語られるのだが、過去の出来事を掘り起こすうちに、人々のふれられたくないこと、そっとしておいた方がよかったことが暴かれていくのがつらい。
そのままにしておいた方が皆の平和のためによかったのではと思いつつも、次第に真相が暴かれていくことによって、とまっていた時間が動き始め、登場人物の鬱屈した思いも開放されていくところが心地よい。
ついに真相がと思って安心していたら、さらに一段あっておっと思った。だんだんとおもしろくなるミステリーだった。
終始重苦しい雰囲気だし、読むのに体力がいるけれど、最後まで読み通した時得られるカタルシスはよい。
一番好きになった人物は、一家の家政婦ハンナ。気丈で一家思いの素敵な人物。ラストも印象に残る。
マロリーシリーズも3作目以降を読まなきゃ。
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