【ユベール・ロベール -時間の庭-展】
art-19 【ユベール・ロベール -時間の庭-展】 国立西洋美術館
先日、午前中休みをとって行って参りました。
上野に降り立つとすごい人!わあどうしよう、混んでたらと思ったら、みなさん花見の客だったようで、美術館はすいてました。ほっ。
ユベール・ロベールは廃墟のロベールと言われたフランスの風景画家で、庭園のデザインなども手がけたという人物。
本格的な個展は日本では初とのことで、これはヴァランス美術館の改修工事に伴う休館によって、ごっそり貸してもらったということらしい。
ロベールの絵、見たことはあるんだろうけれど、名前は意識したことはなかったかも?
1.イタリアと画家たち
ロベールに影響を与えた画家たちの絵。
クロード・ロランはよく見ますね。展示されていた作品は西洋美術館のものが多かったし。静岡県立美術館の絵も1点あり。
2.古代ローマと教皇たちのローマ
ロベールは若い頃、イタリアに数年滞在し、フランスアカデミーで学びつつ、たくさんの絵を描いている。この章では、ローマの風景の数々が。
サンギーヌ(赤チョーク)で描かれた素描が多く、精力的に描いた様子がうかがえる。
廃墟のロベールと言われる片鱗も見せていて・・・というか、ローマは古代遺跡がたくさんあるから、そういったものを描くチャンスが多かったということだろう。
さすがに現在とはだいぶ様子が違うものの、観光地めぐりのようで楽しい。
中でも、サン・ピエトロ大聖堂を描いた何枚かが気に入った。
3.モティーフを求めて
さらにロベールはモティーフを求めてイタリア各地を旅する。古代遺跡だけでなく、郊外のうち捨てられた庭園や邸宅などを描いたという。
荒れ果ててた庭園など描くというのはおもしろい視点だと思うが、自然な感じで悪くない。
フラゴナールと共にスケッチしたこともあったとかで、今回もフラゴナールが何点かあったが、結構似てるんである(実際、フラゴナールの作品が一時ロベールの作品と思われていたこともあったらしい)。フラゴナールはロココ絵画で、その後はまったく違う道を歩んでいるようなんだが。
4.フランスの情景
帰国したロベールは、貴族や有力者たちとの交流もあって画家として成功する。
パリの風景もいろいろ描かれているが、サロンを主催していたジョフラン夫人の絵や、家族を描いた絵も。
平和な雰囲気な絵が多い。
サン・ドニを描いた絵が好き。
5.奇想の風景
これこそロベール!
古代遺跡や歴史的な建造物を自由に組み合わせた風景画である。
チラシに使われている「古代遺跡の発見者たち」もこちらにある。
コロッセオの回廊からインスピレーションを得て描いたもののようだが、ふーん、現実の風景ではないとはねぇ。
西洋美術館に収蔵されている空想のローマ景観の2枚も、サイズが大きいということもあるが、迫力。
この章が一番充実してたかなあ。
6.庭園からアルカディアへ
ロベールは庭園のデザインも手がけたという。この頃、幾何学的庭園から、自然美をとりいれば風景式庭園がはやりつつあったということで、これはロベールの画にも通ずる。
その後、ロベールは革命によって、それまでの生活から一変、牢獄に捕らえられる。
生活費の足しにしようと、お皿に絵を描いて売ったとのことで、何枚かが飾られていた。現在は12点しか残っていないらしく、これは貴重。いやー、こんなお皿使えないよね(笑)。
その中の一枚、「サン=ラザール牢獄の囚人たちの散歩」はロベールとしては異色の題材だ。
ワタクシが風景画が好きだということもあるけれど、予想以上に楽しめた展覧会。
なかなかまとまって見られる機会はないと思うので是非!
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