【レーピン展】
art-42 【レーピン展】 Bunkamuraザ・ミュージアム
山種美術館に続いて向かったのは、文化村。
国立トレチャコフ美術館所蔵レーピン展である。
ワタクシ、肖像画はあまり得意ではなくて、当初あまり行ってみる気はなかったのだけど、夏の旅行先チェコの美術館で何枚か見て、意外といいかもと思い、行ってみることに。
いやー、行ってよかった。いい展覧会でした。
まずはレーピンの自画像から。
Ⅰ 美術アカデミーと《ヴォルガの船曳き》
一躍有名になった「ヴォルガの船曳き」の素描や習作が並ぶ。
習作といっても完成作に劣らぬ出来。変遷がわかるという点もおもしろい。
労働者をリアルに描いた作品で、貧しさ、疲労がにじみ出つつも力強さも感じさせる作品である。
Ⅱ パリ留学:西欧美術との出会い
パリ留学で印象派の影響を受けた時代の絵。
そういわれてみると、明るい色彩が影響を受けているかな?
「幼いヴェーラ・レーピナの肖像」は娘を描いた絵で、とってもかわいらしく描かれている。父親のまなざし。
Ⅲ 故郷チュグーエフとモスクワ
故郷の帰ったレーピンの作品は、民族的な絵、民衆の暮らしを描いたものが多い。
コサックの絵などとても生き生きとして描かれている。
そして、なんといってもインパクトがあるのは、「皇女ソフィア」だろう。ふと振り向いて目に入るこの絵、ソフィアの目ぢからに圧倒される。細かく見ると、窓の向こうにつり下げられた兵士の死体、おびえる侍女なども恐いのだが、ソフィアの怒りの形相が恐ろしすぎる・・・
ムソルグスキーの肖像もぎょろっとした目が恐いが。
このあと、和むのは家族を描いた絵である。
ポスターにもなっている妻ヴェーラ・レーピナの肖像は、やさしい雰囲気につつまれている。息子を描いた絵もかわいらしい。
Ⅳ 「移動派」の旗手として:サンクトペテルブルグ
ここにも恐い絵が。習作だが「イワン雷帝とその息子イワン」である。
激情にかられて息子を殺してしまったイワン雷帝を描いた絵は、王朝によって公開禁止とされてしまったらしい。
評価の高い「ピアニスト、ゾフィー・メンターの肖像」をはじめとして、肖像画が並んでいて、これがみなとってもリアルなんですね。どれも完成度が高い作品ばかり。
いやー、肖像画がこんなにいいとは思ってなかった・・・
という中で、「キャベツ」なんかも好き。これだけちょっと異質だったけど。
Ⅴ 次世代の導き手として:美術アカデミーのレーピン
「移動派」を離れ、再びアカデミーに復帰し教鞭をとる頃の作品群。
「ゴーゴリの「自殺」」がまた恐い。狂気を宿したゴーゴリの目が。
娘ナジェーダの肖像は柔らかな雰囲気。家族を描くときはとてもやさしい目になるんですね。
これだけの数のレーピン作品を見られるチャンスはあまりないと思うので是非!
素晴らしいです。
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