【ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅展】
art-45 【ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅展】 府中市美術館
ベルギーのシュルレアリスム画家、ポール・デルヴォーの展覧会に行ってきました。
デルヴォーは、ベルギーに行った際にたくさん見てきたけれど、とにかく不思議で幻想的。
アンソールといい、デルヴォーといい、ベルギーづいてますね。
序章として、まず「夜明け」からスタート。
ポスターの絵ですね。
現実感があまりない夢のような雰囲気で、ぐっと引きこまれる。
第1章 写実主義と印象主義の影響
しかし、デルヴォーもはじめからシュールな絵を描いていたわけではなくて、スタートは主に風景画。それも印象派っぽい、デルヴォーと言われないとわからない画風。
こんなデルヴォー、とっても新鮮だけれど、案外こんな絵も好き。
鉄道好きだったという(後年このモチーフはたくさん出てくる)デルヴォーの趣味がかいまみられるのが「リュクサンブール駅」。
第2章 表現主義の影響
その後、デルヴォーは様々な画風に出会い、いろいろと試してみたのだろうか。この頃の作品は、確かにバラエティに富んでいる。セザンヌ、ピカソ・・・いろいろに見える。
プラス、のちの妻となるタムとの仲を親に引き裂かれ、やや沈んだ色調の絵が多いのも特徴のようだ。
第3章 シュルレアリスムの影響
第4章 ポール・デルヴォーの世界
そして、シュルレアリスムとの出会いによって、デルヴォーの作風が確立される。
第4章では、デルヴォーの絵によく出てくるモチーフを5つのパートにわけて紹介。
~欲望の象徴としての女性、男性の居場所~
デルヴォーの絵に出てくる女性は皆同じ顔をしていて、感情がないように見える。
そして、男性はほとんど出てこないんですね。
「行列」は、そんな無表情な女性がたくさん向こうから歩いてくる絵なのだが、昼との夜ともつかない、そして現実のような夢のような、不思議な絵である。
~生命の象徴としての骸骨~
骸骨のイメージはあまりなかったが・・・
「会話」は裸の女性と骸骨が楽しく?語らっている絵で、なんとはなしにユーモラス。骸骨というと暗いイメージかと思いきや、楽しそうな感じなのがおもしろい。
~汽車、トラム、駅~
汽車やトラムはたくさん描かれてますね。女性の背景に描かれているというパターン。
「トンネル」はとびきり不思議な絵だ。
女性が皆違う方向を向いていて、誰も視線がまじわっていないようだし、鏡の中の少女は何を意味するのか?鏡にうつっているはずの少女の姿は見えないし、鏡の中に封じ込められてしまったのか、幻想なのか・・・
見れば見るほど謎が深まる気が。
~建築的要素~
そうそう、確かにデルヴォーの絵には古代神殿が後ろの方に描かれていることが多いですね。
女性と、汽車と古代神殿と・・・考えてみると不思議な組み合わせだ。
そんな絵が「エペソスの集いⅡ」や「夜の死者」。
「エペソス・・・」はより不思議度が高い。幾何学的な配置の中に、白く浮かび上がる女性たち。真ん中の寝そべる裸婦はいったい・・・?
~ルーツとしての過去のオブジェ~
デルヴォーは、生家の家の中を繰り返し描いたとのこと。
ランプなんかはそう言われてみるとよく出てくるモチーフなんですね。
第5章 旅の終わり
デルヴォー最後の油絵「カリュプソー」。
それまでの絵とは全然違う。この頃にはほとんど視力を失っていたという影響もあるのかもしれないが、最後に至った境地なのか、とても優しく淡い作品である。
この後、水彩を描いていた(これらも淡い感じ)デルヴォーだが、妻のタムが亡くなったことで筆をおいたそうだ。
まさに夢をめぐる旅。
どっぷり、デルヴォーの幻想世界にひたることができました。
ポスターの夢にデルヴォーっていうのはちょっと・・・(笑)
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