【エル・グレコ展】
art-8 【エル・グレコ展】 東京都美術館
都美術館で開催中のエル・グレコ展に行って参りました。
大きな作品が多いので人のいりの割に見にくくはない。
うーん、でも荷物をロッカーに預けようと思ったら、なかなかあきがなくて苦労した。昨日はとても暑かったので、コートを預けたいという人が多かったのかも。
もうちょっとロッカーを作るか、預けられるところを作ってほしいな。
Ⅰ-1 肖像画家エル・グレコ
エル・グレコというと宗教画のイメージだが、肖像画も多く描いている。初期の頃もトレドにきたからも。
まずは「芸術家の自画像」からスタート。この絵はエル・グレコの自画像と言われているもので、かなりリアル。
比較的初期の「燃え木で蝋燭を灯す少年」や「白貂の毛皮をまとう貴婦人」は、エル・グレコ的でない感じもするが、次第にエル・グレコ的に。宗教画にあるような鮮やかな色はあまりなく、暗い色調の絵が多いのだが、印象に残る絵が多い。「修道士オルテンシオ・フェリオ・パラビシーノの肖像」、とてもよい。
Ⅰ-2 肖像画としての聖人像
ヒエロニムス、パウロ、ヨハネ、ペテロ・・・
同じみの聖人が並ぶが、結構迫力がある。
枢機卿の姿をしたヒエロニムスもあったが、これはどうだろう?あまりヒエロニムスらしくない。フツーの人間のように描いてみたということだろうか。
Ⅰ-3 見えるものと見えないもの
「悔悛するマグダラのマリア」。象徴的な小道具が描かれている奥の風景はなんだろう?教会?エル・グレコの絵って背景も隅々まで見ないと。
一番、見応えがあるのは「フェリペ2世の栄光」だろうか。
神の裁きを待つフェリペ2世をはじめとした人々の横には、地獄の怪物が大きな口を開けて人を飲み込んでおり、天上では天使、そして一番上にIHSの文字が光輝く。象徴的な絵である。
Ⅱ クレタからイタリア、そしてスペインへ
エル・グレコはギリシャに生まれ、イタリアを経てスペインへと移り住み、最終的にはトレドで亡くなっている。その絵の変遷をたどる展示。
エル・グレコもはじめから細長い絵を描いていたわけではなくて(笑)、はじめは全然違うんですね。「羊飼いの礼拝」にしても、「受胎告知」にしても並べると違いがよくわかる。
赤や青のあの印象的な色遣いがつくられて、そして次第に細長くデフォルメされていったようだ。
Ⅲ トレドでの宗教画:説話と祈り
エル・グレコの絵で多くを占めるのは祈念画だという。
確かにね、この章の絵はまさにエル・グレコ!
赤、青、黄のコントラスト、長く伸びた人物と構図。
「聖衣剥奪」、「オリーヴ山のキリスト」、「十字架のキリスト」(国立西洋美術館蔵。何度も見たことあるんだな)、「キリストの復活」。どれもドラマチックだ。
Ⅳ 近代芸術家エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として
エル・グレコは絵を描くだけでなく、総合的な芸術をめざしたらしい。つまり、絵や彫刻をいかに効果的に見せるかを考え、プロデュースしたということのようだ。
この展覧会ではもっとも盛り上がるところ。
暗い背景に、鮮やかな色。
無原罪のお宿りは、その当時非常にはやっていた主題とのことだが、2枚展示されている。
まずは「福音書記者聖ヨハネのいる無原罪のお宿り」は変わった構図。ヨハネと一緒に描かれているのはめずらしい。
そして、ラストにバーンと飾られているのが、トレドの「無原罪のお宿り」。
これ、こんなに大きな絵だったのですね。いやー迫力がある。マリアも天使も必要以上に伸びていて、不思議というか幻想的。細部に目をやってみれば、百合、泉、鏡などよく使われるモチーフあり、そしてトレドの風景も広がっており、かなり細かい絵であることがわかる。やはり傑作ですね。
国内最大規模のエル・グレコ展とのこと。是非!
« 四ッ谷:スパゲティながい | トップページ | 【飛騨の天空展】 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 【特別展はにわ】(2024.11.25)
- 神代植物公園3(2024.11.19)
- 【カナレットとヴェネツィアの輝き展】(2024.11.04)
- 【英一蝶展】(2024.10.14)
- 【田中一村展】(2024.09.23)
コメント