【ミュシャ展】
art-11 【ミュシャ展】 森アーツセンターギャラリー
ミュシャは日本でとても人気があるようで、しゅっちゅう展覧会をやっている気がするが、今回は、パリで成功、アメリカで活躍したあとに祖国チェコに戻ってからの作品もたくさん展示されると聞いて是非行こうと思っていた。
昨年夏、プラハを旅行し、ムハ(現地ではムハと読む)美術館で、パリ時代の華やかなリトグラフだけでないミュシャを知った。残念ながら、ムハ美術館は小さくて、あまり作品数がなかったのだが、今回は200点以上も展示されるということで見逃せません。
チケット売り場が混み混みで(狭いんだよなー。もうちょっとなんとかならないかなあ)いきなりぐったり。会場も結構な人の入りだった。
そして、この美術館はいつもうそうだったっけ?作品リストがない。是非置いてほしいな。
第1章 チェコ人ミュシャ
ミュシャというと、どうしてもサラ・ベルナールのポスターのイメージがあって、いきなり家族の肖像画、自画像、故郷を題材とした作品が並ぶのでとまどうかもしれない。
故郷を題材としたカラーリトグラフは、確かによく知られたミュシャらしい作品だが(民族衣装が描かれているのでパリ時代とは違うけれど)、肖像画だけを見たら、え?これミュシャと思ってしまいそうだ。たくさん見ていると、ああこれが画家としてのミュシャねとわかってくるのだけど。
第2章 サラ・ベルナールとの出会い
これが、よく知っているミュシャ。
度々見ている、ジスモンダをはじめとした、サラ・ベルナールのポスターの数々。
ふーん、サラ・ベルナールって自身も彫刻家で美術コレクターだっだそう。
第3章 ミュシャの様式とアール・ヌーヴォー
ミュシャはたくさんの広告ポスターや、商品のパッケージなどを手がけてる。
タバコ、石けん、クッキーなどいろいろ。パッケージとっても素敵だなあ。今こういうの売ってたら絶対買っちゃうと思う。それで、捨てられない(笑)
植物や花のモチーフ、優美な曲線。女性に好まれる要素が満載。
モエエ・シャンドンのデザインもしてたんですね(今もあるのかな?)。ビールの広告もよかった(って酒好きみたい(笑))。
若いデザイナーや学生のために装飾資料集、装飾人物集、何枚か展示してあったが、全部見てみたいですね。
第4章 美の探求
今回の展覧会ポスターにもなっている「夢想」。とても優しいリトグラフだが、衣装などはモラヴィア風。
4点セットの装飾パネル、「四季」と「四芸術」。どちらも素敵で甲乙つけがたい。
「四芸術」は、流れるような体の動きがきれい。
数枚あった油彩の裸婦像はちょっと恐かった・・・
第5章 パリ万博と世紀末
1900年のパリ万博では、オーストリア政府の依頼でボスニア=ヘルツェゴヴィナ館の内装を担当したミュシャ。この準備でバルカン諸国を旅したミュシャはスラヴ民族の複雑な問題、祖国がオーストリアの支配を受けていることを見て苦悩、祖国のために働く決心をしたという。
同時に、フリーメイソンに入団したとのこと(これは知らなかった)で、転換期のミュシャの芸術の数々が展示されていた。
4点セットの1つ、「月と星」は、ミュシャらしからぬ暗い色調で、やはりこの頃の心境の表れなのだろうか。ボスニアの伝説を描いたスケッチの連作他も暗い。
対して、4点セットももう一つ、「宝石」はとてもきらびやかな作品。
第6章 ミュシャの祈り
1910年、祖国に戻ったミュシャは長い年月をかけて「スラヴの叙事詩」を完成させる。
今回は映像と写真、そしていくつかの下絵のみだけの展示だったが、ミュシャの祖国や民族への思い、祈りがこめられた大作、是非ともすべてを見てみたいもの。
未完の三部作の下絵が見られたのも貴重だが、最後にミュシャがたどり着いた心境があらわれたこの章こそ、この展覧会の一番の見所といえましょう。
まさにあなたの知らないミュシャが見られるこの展覧会、とっても充実しています。
是非!
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