【アントニオ・ロペス展】
art-23 【アントニオ・ロペス展】 Bunkamuraザ・ミュージアム
現代スペイン・リアリズムの巨匠、アントニオ・ロペス展に行って参りました。
この展覧会、当初は行く予定がなかったのだが・・・
今年の夏、スペインに行くということと、昔見たビクトル・エリセ監督の「マルメロの陽光」の画家がこの人だったと聞いて俄然興味がわいた次第。
故郷
ラ・マンチャ地方の町に生まれたロペス。13歳で叔父のすすめによりマドリードの美術アカデミーで学ぶことになったロペスの若い頃の絵は、故郷をモチーフとしたもの。
単純に故郷を描いた作品かと思うと、細部を見るとどこか変・・・シュールレアリズム、キュビズムの影響があるからなんですね。
家族
身近な家族を題材に多く描いたロペス。
ブロンズ像の娘マリアがかわいい。鉛筆で描いたマリアの絵も、繊細で素敵。
ちょっと変というと、「夕食」という作品。描いている途中でやめちゃったというもので、奥さんの描く位置を変えようとして、描いている途中でやめたので二重になっているんである。
どうせならちゃんと描けばよかったのでは?と思うが、独特なこだわりなのかも。
植物
映画の中で描かれている「マルメロの木」が登場。天候不順で描くのを断念、未完成に終わった作品であるが、決してこの人、想像で描いたりはしないんですね。未完成な作品がいかに多いことか!
マルメロ、ブドウ、バラ、スミレなど、思ったより美しい絵なのだった。
マドリード
なんといってもポスターになっている「グラン・ビア」。いや、これ写真と見まごうリアルさである。6時30分というデジタル時計が表示されているが、なんと、8年もの間、夏のこの時間にイーゼルを立てて描いたという。ここまでこだわるとは!是非この場所に立ってみなければ・・・
その他、主に高い位置から描いたマドリードの風景画が何枚もあったが、どれも遠くから見るほどリアル。近くに寄ってみると、部分部分は案外きちんと描いてなかったりするのだが・・・
そして、どの作品も人はまったく描かれておらず、不思議な静けさが感じられる。
静物
身近な物というと、静物画も多く描いているようだ。
リアルなようで、不思議な絵も多い。やはりシュールレアリズムの影響だろうか。
室内
なんでこんなもの描いてるんでしょうか。
トイレとかバスルームとか、あまりにリアルすぎて・・・汚さまでも忠実に描いていて、こんなところをさらけ出してしまっていいのかと思うくらい。
描いているところの写真もあったのだが、「新しい冷蔵庫」など、扉をあけっぱなしにして描いたようで、このこだわりはいったい・・・
「食器棚」は実に不思議。ろうそくだのランプだのが浮いていたり、奥さんの胸像も浮いていたり。うーん、不思議。
人体
彫刻作品も多く手がけているロペス。子どもたち(孫たち)の頭などはかわいらしいのだが、絵と同じくリアリズムを追求しているようで、妙に生々しくもある。
ソフィア王妃芸術センター所蔵の作品が多かったが、今年の夏行っても貸し出し中ですね。ま、見たからいいけど。
この展覧会、行ってホントによかった。おすすめです。
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