【プーシキン美術館展】
art-30 【プーシキン美術館展】 横浜美術館
大震災の影響で一旦中止になった展覧会。
しかし、完全に中止になったわけではなくて、今回ついにきてくれた!これは行かなければならないでしょう。
プーシキン美術館展は、8年前に都美術館で開催されており、これも行っているのだが、また全然違う作品がきている(当たり前か。何せ70万点も所蔵しているそうだから)。
家からは横浜美術館は遠い。がんばって早起きをして、なんとか10時10分に到着。
みなとみらいの駅に降りたってまずびっくり!こんなところにビルが!前にきたときは空き地だったのだが・・・(つい最近できたらしい)
そして、ウーム。長蛇の列ができている。入場制限しているとのことで、しばらく待ってようやく入場。中でまたチケット売り場に並ぶ。ふー。
そして、会場に入ると人、人、人・・・
さすがに休日、混んでました。
第1章 17-18世紀 古典主義、ロココ
古典主義のプッサンの絵は「アモリびとをを打ち破るヨシュア」。非常に躍動感にあふれた絵である。
クロード・ロランの「アポロとマルシュアスのいる風景」。アポロと竪琴の競争をして負けたマルシュアスが木にくくりつけられ、皮をはがされようとしている(!)というギリシャ神話のお話なのだが、あたりは牧歌的な風景が描かれていて(ロランらしい)、その対比が恐い。
ブーシェの「ユピテルとカリスト」。ディアナの従者に恋をしたユピテル(まったくもう(笑))がディアナに変身して言い寄ろうとしている絵で、なんとも優美でロココ的。これいいなあ。
グルーズの「手紙を持つ少女」は、先日見てきた【夏目漱石の美術世界展】のグルーズの絵に描かれた少女とそっくり!てちょっとびっくり。
そして、大好きな、ユベール・ロベール。廃墟のロベールらしく、遺跡が描かれているのだが、向こうにはなぜかピラミッド。おもしろい。
第2章 19世紀前半 新古典主義、ロマン主義、自然主義
パッと眼に入ってくるのは、アングルの「聖杯の前の聖母」。聖母の顔がいかにもアングル好み。
オリエンタル趣味の絵画が何枚かあったが、目立つのはやはりジェロームだろうか。この時代、こうした絵が(ちょっと妖しげ)はやったのでしょうか。
ドラロッシュの「エドワード4世の息子たち」は、【夏目漱石の美術世界展】でもパネル展示されていたが(題名も構図も違う)、同じ題材ならばやはりミレイの方が好きかなあ。
ドラクロワの「難破して」は、ルーヴルにある「ドン・ジュリアンの難破」の続編にあたる絵だそうで、人々の苦しみと絶望が伝わってくる暗い色調の絵。
最後の方で、ミレーの「薪を集める女たち」が展示されており、同じように暗いトーンとはいっても、こちらはなんとなくホッとしたのだった。
第3章 19世紀後半 印象主義、ポスト印象主義
映像コーナーの次にある部屋だということもあるし(たまっていた人がどっとなだれ込む)、一番人気のコーナーということもあって、ここは激混み。遅々として列は進まないのだった。
映像コーナーの次は別のコーナーにした方がいいんじゃ?
まずはマネからスタートなのだけど、次にモネ、ルノワールと続くものだから、あんまり人は見ていない(笑)。実際、書きかけか?という印象もあるほどの絵で若干微妙。
モネは、奥さんカミーユが描かれている「陽だまりのライラック」という作品なのだが、光が多きな点で描かれていて、まあ印象派的といえばそうだか、ワタクシ的にはちょっと微妙。
そして、今回の一押し!ルノワールの「ジャンヌ・サマリーの肖像」が次に。全体がピンクで柔らかな印象だけれど、ワタクシ的には次の「セーヌの水浴」の方が好み(ってひねくれ者ですか?)。
ドガ、ロートレックと続いて、セザンヌ。何枚かある庭師をモデルとして「パイプをくわえた男」。キュビズムの走り的な絵。水浴の絵もありましたね。
ゴッホの「医師レーの肖像」は背景の色が強烈。耳切事件のあとの治療をしてくれた医師を描いた絵なのだそうだけど、医師は気に入らずすぐに売ってしまったとか。持ってればねぇ。
強烈なゴーギャン2作品のあと、大好きなドニが一枚。
第4章 20世紀 フォーヴィズム、キュビスム、エコール・ド・パリ
マティスからスタート。「青い水差し」はそれほどマティス的ではなかったけれど、「カラー、アイリス、ミモザ」は強烈な色の配置で目に鮮やか。
ピカソはカラーの違う三枚が。青の時代のもいいのだけれど、まだまだ原型をとどめていたキュビズムのはじまりの時代の「扇子を持つ女」がよかった。
妙に太いアンリ・ルソーの絵や、赤みの強いシャガールやら印象的な作品はいろいろあったが、ラストのレジェが力強くて強烈な印象だった。
王朝・貴族のコレクション、モロゾフやシチューキンといった富豪の商人たちのコレクションなどから成り立つ、プーシキン美術館のフランス芸術。まだまだいい作品を持っていそうで、また来て欲しいですね。
作品数はそれほど多くはないけれど、フランス絵画が好きな方は是非!
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