【バルビゾンへの道 山寺 後藤美術館コレクション展】
art-44 【バルビゾンへの道 山寺 後藤美術館コレクション展】 Bunkamura ザ・ミュージアム
山形の山寺後藤美術館のコレクションがきているというので、行って参りました。
昨年4月に、ニューオータニ美術館に女性の肖像画と静物画計35点がきていて見に行ったのだが、そのときもなかなかいいものを持っているなあと感心した。
この美術館、てっきりバロック、ロココなどの肖像画のコレクションと静物画少々、なのかと思っていたのだが、何?バルビゾン?
前回は風景画はまったく来ていなかったので(そういう趣旨の展覧会ではなかった)、楽しみである。
神話・聖書・文学
まずは聖母からスタート。
サルヴィの「祈りの聖母」とムリリョの「悲しみの聖母」が並ぶ。
「祈りの聖母」は幼子イエスを慈愛に満ちたまなざしで見つめる聖母、「悲しみの聖母」は、磔刑になったイエスを見上げる(おそらく)聖母。この配置もいいですね。悲しみの聖母の頬には涙も見える。
神話も重要な主題で、「ディアナ」などはよく描かれたテーマだろうけれど、「水浴する女たち」は、どの話を描いたかよくわからず、神話がテーマではないのかも。
聖書でいうと「荒地のマグダラのマリア」も世俗的な感じがする。
絵を見る際、古典文学の知識も必要ですね。
今回も、「リア王とコーデリア」、「デスデモーナ」といったシェークスピアから主題をとった絵があった。
美しさと威厳
この章の絵は、前回の展覧会で見たものが多かった。
コンスタブルのグルーズの絵の模写(こんな絵はめずらしいが、コンスタブル自身も作風があわず苦労したらしい)、グルーズ自身の少女の絵が愛らしいが、今回一番気に入ったのは、ジャン・バティスト・ユエの「羊飼い姿のヴィーナス」。ロココってそれほど好きではないのだけど、今回の気分として、優美なものが見たかったのかも(笑)。
ペクリュの「貴婦人と犬」も好き。あ、どうやら犬がポイントなのかも・・
ミレイの「クラリッサ」は、パッと見、ミレイとわからないのだが、同様にアンリ・ファンタン=ラトゥールの「犬と遊ぶ二人の少女」もわからなかった。
風景と日々の営み
ようやくバルビゾン登場!いいですね、やっぱり。
コローが3枚。一番好きなのは「水車小屋のある水辺」。田舎の穏やかな風景である。
トロワイヨン、ラ・ペーニャ、テオドール・ルソー。
ミレーも一枚あったが、これはパステル画。かわいらしい小品である。
クールベの作品は力強い(「波」の荒々しさ!)
目を惹くのは、ペレの「羊飼いの少女」。描かれている少女や羊たちはまるでミレーなのだけど、色彩がとても明るい。
静物-見つめる
静物画も好きな分野だ、花が描かれた絵より、いわゆる台所画の方が好き。
というわけで、スタナードの魚が描かれた「静物」やリボの「ざくろのある静物」が好み。
でも、「ざくろ・・・」はざくろ、りんご、オレンジ、ワインにそれぞれ意味があり(受難、贖罪、血など)、なかなか深い絵なのであった(解説がないとわからない)。
ラストは「鹿と猪のある静物」(はえも描かれている)で、ちょっとぎょっとする絵ではありました。
知らない画家の絵もたくさんあるけれど、充実のコレクション。
山寺に行ったら是非訪ねたい美術館です。
是非!
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