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2014/01/10

【川瀬巴水展】

art-2 【川瀬巴水展】 千葉市美術館

1401101
お正月休み最終日に行った展覧会。
千葉はうちからはちょっと遠くて、今までこの美術館での展覧会に行きたいと思ったことが何回もあったのだが結局断念。初、千葉市美術館である。かなり時間はかかったが、ほぼ座っていったので意外と楽だった。これなら、またいい展覧会があったら行ってみよう。

昭和の広重と言われる巴水、今までちらほらと見ていいなと思っていたのだが、まとめて見るのははじめて。
ということで、時系列で展示してくれるのはありがたい。

第1章 大正7年~12年 木版画家としての出発~関東大震災まで
日本全国をスケッチ旅行し、版画にした巴水。なかなか精力的。
第1章では、旅みやげ第一集、第2集、日本風景選集が展示されている。旅情がかきたてられる作品ばかり。どれも静かな風景であるというところがよい。
東京の風景も、東京十二題、東京十二ヶ月で描かれているが、これがなかなかよい。
ワタクシは東京に育ったわけではないし、もちろん昔の風景は見たわけではないのだけど、なんか懐かしさを覚えるのである。
巴水の版画は、水の風景が多く(川だったり、海だったり、雨だったり)、夕暮れ~夜の風景も多く、また雪の風景も多い。
そして、人物はあまり描かれておらず、いたとしても少人数だし、動きもほとんど感じられない。それが、静謐な風景を生み出しているのだろう。
ワタクシの好みとしては、雪の風景や、夕暮れ時~月明かり~夜の風景である。

第2章 大正12年~昭和20年 関東大震災後~戦中まで
関東大震災で多くの版木を失い、打ちのめされた巴水はしかし、すぐに旅に出かけたくさんの風景を描いている。今回、スケッチブックもたくさん展示されていたが、版画を対比して見るのもおもしろい。スケッチとはいっても結構しっかり描きこんであった。
このあと、巴水は東京二十景を発表。「芝増上寺」は5000枚、「馬込の月」は3000名も売れたという。この作品集はどれもいいのだが、ワタクシのお気に入りは、「新大橋」。街灯にポッと浮かぶ橋が美しい。
版画作品と水彩作品が並んでいるのもおもしろい(番号のあとにaとついているもの)。一瞬、どちらも木版画と思ってしまったくらい。水彩と微妙に構図が違ってはいるのだが。
試摺との比較も興味深い。摺りによってまったく印象が異なるし、試摺にも案外いいのもあったり。
この頃になると、明るい色の作品も増えていて、そこが微妙な変化といえようか。つつじの庭を描いた数点、これはなかなかよかった。
また、東京の発展に伴い、小道具が(車だったり、人々の服装だったり)少しモダンにもなっている。
お茶目な絵としては、自分自身が温泉につかっている様子を描いた「上州法師温泉」がある。なんかのんびりムードが漂っていてふっと笑ってしまう作品だ。

第3章 昭和20年~32年 戦後
戦後、また版画の需要が高まり(外国人に売れるなど)、再び精力的に描きはじめた巴水。
まだまだ旅に出るのである。
雰囲気は初期の頃に戻っている感じではあるが、日本の家屋と雪景色にサンタを配するなど、おもしろい試みもあったり。
宮の下冨士屋ホテルの春・夏・秋・冬を描いた4枚、同じ構図なのだけど、季節ごとの違いがあって楽しめる。
力作なのは、なんといっても「増上寺の雪」だろうか。なんと42回の摺りを重ねているという。初期の増上寺のよりいいかも。
絶筆となった「平泉金色堂」は、静寂さが漂ういい作品である。完成を待たずに巴水は亡くなったそうなのだが・・・

巴水の展示が終わった次の展示室では、渡邉版の新版画の展示があり、知らない画家が多かったが、おもしろかった。外国人3人の作品もあったが、日本っぽい!エリザベス・キースの名前は是非覚えておきたい。

とても充実した展覧会でした。
会期終わりまであと少し。まだの方は是非どうぞ。

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