【世紀の日本画展】(後期)
art-16 【世紀の日本画展】(後期) 東京都美術館
都美術館で開催されている、日本美術院再興100年特別展・世紀の日本画(後期)に行って参りました。
前期に行ったのが、第三水曜日。65歳以上無料の日だったので激混みで大変だったが、今日はそれほど混んでおらず、ストレスなく見ることができた。やっぱりこれくらいの人のいりがいいなあ。
第1章 名作で辿る日本美術院の歩み
横山大観の「無我」でスタート。ほほえましい絵である。
続いて、狩野芳崖の「悲母観音」。繊細な表現が見事。
菱田春草の「四季山水」は前期後期で巻き替え。すべてを見られたらいいのだけど。
大観は「屈原」もあった。何か思い詰めたような悲壮な姿の屈原。岡倉天心と重ね合わせて描いたらしい。
橋本雅邦の「龍虎図屏風」は大迫力。龍も虎もだが、波のうねりや空も迫力。龍や虎の表情はふっと笑ってしまいそうなかわいらしさもあるのだけど。
小倉遊亀「コーちゃんの休日」は越路吹雪を描いた絵とのことだが、鮮やか。マティスの影響が見てとれるとのことだが、確かに色使いや、足のあたりのポーズなんかはそうかも。
隣には奥村土牛の「門」。姫路城の門だったんですね。構図が好き。
前田青邨「京名所八題」は前期とは違う4幅の展示。このシリーズ好きだな。
第2章 院展再興の時代-大正期の名作
こちらの章にも青邨が。「湯治場」は草津他計3枚で、「京名所」と同じく俯瞰図。ただし、こちらはカラー。
小杉未醒(この人は知らなかった。前期にもあったけれど)の「山幸彦」はシャヴァンヌの影響があるとか。もちろん日本風ではあるけれど、ぼかしの技法が似ているかも。
萬鉄五郎の静物画「薬罐と茶道具のある静物」は若干キュビズム的。
前期もあった平櫛田中、後期は「禾山笑」。大笑いする僧侶を見るとこちらもわははと笑い出したくなる。
第3章 歴史をつなぐ、信仰を尊ぶ
安田靫彦「項羽」。四面楚歌となった項羽と虞美人を描いたものだが、虞美人の表情がなんとも悲しい。背景には万里の長城が描かれているが、この頃はなかったものを描いてしまい、後悔したという。
青邨、最晩年の作品が「知盛幻生」は幻想的な作品。
第4章 花。鳥。そして命を見つめて
小林古径の「孔雀」はなんて色が美しいんでしょう!
青邨がまたしても。「芥子図屏風」。これはインパクトあり。構図はとてもおもしろい。
小茂田青樹「虫魚画巻」は巻き替え。鰻、蜘蛛、金魚、虫・・・蜘蛛の巣がなかなかにリアル。
田渕俊夫「流転」はススキの春夏秋冬を一枚におさめたもので、ユニーク。
第5章 風景の中で。
前期もあったが、群青に凝っていた頃の速水御舟が。今回は「比叡山」だが、青が鮮烈である。
今村紫紅の熱国之巻、後期は夕方の図。不思議な絵ですねぇ。いろいろな国がまぜこぜになってるみたいで。
岩橋英雄「五浦」。岡倉天心が別荘を建てた五浦には大観、観山、菱草ら蒼々たるメンバーが移り住んだという。今も残ってるんでしょうかね。
平山郁夫の「絲綢之路天空」。いつみても、見た途端にシルクロードのテーマ曲が頭になって困ったもんである(笑)。
しかし、なんといってもよかったのは岩橋英遠の「道産子追憶之巻」である。今回の展覧会全体としてももっとも印象に残った作品。長さ29メートルの大作で、北海道の冬、春、夏、秋、そしてまた冬とストーリー仕立てに展開。素敵!
小田野尚之「くつおと」は今はない博物館動物園駅を描いており、確かに靴音が聞こえてきそうだ。
第6章 幻想の世界
前期もそうだったのだが、このパートは一番しっくりこなかった。
前衛的な作品が多くて。
一番よかったのは女性画家宮北千織「うたたね」。女性らしい感性の絵。
第7章 人のすがた
片岡球子の「面構(歌川国芳)」はおもしろかった。ダイナミックである。面構シリーズ、全部で64枚あるらしいけれど、是非全部見てみたいものだ。
中村貞以「シャム猫と青衣の女」はまず青い服が目に飛び込んできて、構図のおもしろさを感じ、シャム猫のかわいらしさでなごむ絵。
北澤映月「女人卍」は、淀君と中心に、出雲阿国、細川ガラシャ、加賀千代女、樋口一葉が描かれる。どの女性も特徴がよく表れている。
手塚雄二「市民」はロダンの彫刻カレーの市民を描いたもの。パッと見、それとはわからず(暗く描かれているため)、よくよく目をこらすと浮かび上がってくる。
前後期、大変充実した展覧会でした。
後期も是非どうぞ。
オオカンザクラとカンザクラが咲いていました。
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