【オランダ・ハーグ派展】
art-29 【オランダ・ハーグ派展】 損保ジャパン東郷青児美術館
ハーグ派とは聞き慣れない言葉。
バルビゾン派の影響を受け、オランダ、ハーグを拠点に自然主義的な作品を描いた派という。
日本でははじめてのハーグ派に焦点をあてた展覧会ということで、これは行ってみなければ!
ハーグ市立美術館の所蔵品を中心に構成される。
第1章 バルビゾン派
ハーグ派に影響を与えたとされるバルビゾン派の作品が30枚。
コロー、テオドール・ルソー、ミレー、ドービニーなどおなじみの画家の絵が並ぶ。
ミレーの油彩画「バター作りの女」もなかなかよかったが(これ、日本にあるんですね)、リトグラフ、エッチング、クリッシェ・ヴェールの作品がさらによかった。
クリッシェ・ヴェールというのはあまり見たことがないが、絵を描いたガラス板の下に印画紙を敷き、光をあてて作る作品のこと。鋭い線で描かれておりシャープな感じ。
オランダ生まれの画家ヨンキントの風景画は、光が美しい。「デルフトの眺め」は、フェルメールとはまた違ったよさが。
第2章 ハーグ派
セクション1 風景画
マリス三兄弟のうち、次男のマタイスと長男のヤコブの絵が何枚か展示されていた。
マタイスの作品の方が好みかな。
ヴィイセンブルフ、ビルデルスなどなじみのない名前が続くが、どれも牧歌的な風景で、ちょっと和む。
セクション2 大地で働く農民
マタイス・マリスのエッチング、「種まく人」はミレーの作品を元にしたもの。
テーマとして、農民の働く姿はハーグ派でも取り上げられたということですね。
セクション3 家畜のいる風景
牛、ロバ、馬、アヒル。
この中ではマリス三兄弟の三男ヴィレムの「泳ぎの練習」がよかった。アヒルのお母さんが子供たちに泳ぎの練習をさせようといているところを描いたもので、ほほえましい。
セクション4 室内と生活
室内をテーマに描いた画家としてはヨーゼフ・イスラエルが有名らしく3枚きていた。
光が部屋に差し込む様子がフェルメール的かと思いきや・・・第2のレンブラントと言われたらしい。
セクション5 海景画
室内画を得意としたイスラエルだが海景画も描いている。
といっても、テーマは漁師の奥さんだったり、えびとりをする漁師さんだったり。海を描いたというよりは、海で働く人々を描いたといえよう。
サデーの作品「貧しい人たちの運命」は、魚を拾う貧しい人々を描いていて、疲れというかもの悲しさがにじみ出ている作品だが、対照的にメスダッハの海景画は勇ましく、堂々としている。メスダッハは裕福な生まれでのちに美術館も設立したという。いや、でもこれがまさに海景画なんですね。
第3章 フィンセント・ファン・ゴッホとピート・モンドリアン
ゴッホとモンドリアン。ハーグ派に関係あるの?
と思ってしまうが、ゴッホはハーグの画商の元で働いていたし、従姉妹と結婚したハーグ派の画家に教えを請うているから、影響はあったのかもしれない。
「じゃがいもを掘る2人の農婦」などはそうかなと思うが、むしろバルビゾンという気もする。
ちょっとうれしかったのはクレラー=ミュラーから「白い帽子をかぶった農婦の顔」がきていたこと。これは「ジャガイモを食べる人々」の描かれた農婦につながるわけですね。結構ごつい顔つき。
モンドリアンこそ、?であるが、叔父はハーグ派の画家だったし、自身も学んでいたらしい。
「オーストザイゼの風車」など、ごくごくフツーの風景画で、とてもモンドリアンには思えないのだが、「ドンビュルクの風車」、「夕暮れの風車」と年代を追ってみていくと次第にカクカクして幾何学的にはなってきているのがわかる。まだまだモンドリアンじゃないけれど・・・
ハーグ派、なかなかよいです。
是非どうぞ。
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