【栄西と建仁寺展】
art-30 【栄西と建仁寺展】 東京国立博物館 平成館
元々この展覧会に行く予定はなかったのだが・・・
先日、出光美術館の【日本絵画の魅惑展(前期)】に行ったところ、酒井抱一の風神雷神図が展示されており、俵屋宗達のも見てみたい!と思って行くことにした。
序章 禅院の茶
建仁寺での茶会の模様が再現されている。調度品は建仁寺のもの。
4人の正客がそれぞれ8人の相伴客を連れてきて、合計36人が参加するのだが、フツーの茶会とは様子が違う。
客が持つ茶碗に僧侶がお湯を注ぎ、茶をその場でたてる。
これ、はじめて知りました・・・
今でも行われてるんですね。
第1章 栄西の足跡
栄西は「えいさい」とずっと思っていたのだけれど、この展覧会では「ようさい」。
なんでも今回展示もされている「興禅護国論和解」ではイヤウサイと読み仮名が振られており、建仁寺ではようさいと読んできたとのこと。どうもねー、なじみがないんだけれど。
この章では栄西が記したものも含め書が多く、書はまったくわからないものだから、正直なところ、ふーんとしか思わなかった(ごめんなさい)。
栄西の像が何点が展示されていたが、頭が長い方だったんですねぇ。寿老人?多少はデフォルメされてるんでしょうけれど。
第2章 建仁寺ゆかりの僧たち
この章から次第におもしろくなってきます。
ゆかりの僧たちの像や画が展示されていたが、猿みたいな人あり(笑)、温和な人あり、苦労がしのばれる顔の人あり、不満げな人あり。
中でも口をへの字にした無涯仁浩という僧侶の像と画が心に残った。なんか、偏屈そう(笑)。
第3章 近世の建仁寺
ここからがハイライト。
正伝栄源院は織田有楽斎によっって再興されたという。この人は織田信長の弟だそうなのだが、像も見ても似てるかどうかは・・・
狩野山楽(永徳の養子となった人)が数枚。襖絵などは結構きらびやか。
部屋を移ってからがとにかくすばらしい!海北友松の襖絵で埋め尽くされているんである。
全部、前期後期で展示替えがあり、一回ですべてを見ることができないのが残念・・・
「雲龍図」だけは、ゴールデンウィーク中はすべてを見ることができたようであるが。
「竹林七賢図」、「琴棋書画図」、「山水図」、「花鳥図」、そして「雲龍図」。
どれが一番いいかなあ。甲乙つけがたい。
迫力という点ではやはり「雲龍図」かな。
「山水図」は構図がいいし、「竹林七賢図」、「琴棋書画図」は大胆な筆づかいがいい。テーマから言うと「花鳥図」も好み。
というわけでどれもよかった。
第4章 建仁寺ゆかりの名宝
いやー、すごいな、建仁寺。いろいろな名画をお持ちで。
「十六羅漢図」が2枚。いずれも前後期入れ替えでこれまた全部見られないのが残念。このテーマもワタクシ大好き。だいたいがおもしろい画。
雪村の「布袋唐子図」。かわいい絵画展に出してもよさそう。
長谷川等伯が2枚。正直、「松に童子図襖」は等伯と書いてなければわからなかった。「竹林七賢図屏風」の方がいいな。
この章にも友松が。うーん、どれもいいな。すっかりファンになりました。
伊藤若冲の「捨徳および鶏図」。これまたかわいい絵でかつユーモラス。うってかわって「雪梅雄鶏図」はカラフル(赤が特に)、鮮やか。これ好き。
長沢芦雪「牧童笛吹図」は指で即興的に描いたものらしいのだが、なかなかに味わいがある。
大好きな白穏の画もあった。
金有声「滝山水・寿老人図」はふふっと笑ってしまう画。
これまた好きな曼荼羅図も数枚あった。細かく見るとおもしろい。よくよく見ると怖いけど。
「涅槃図」はとってもカラフルで動物もたくさん描かれていていいなと思ったのだが、お釈迦様が斬新。
そして、最後の最後に見たかった俵屋宗達の「風神雷神図屏風」が。まず出光で酒井抱一のを見たのが(これはかなりコミカル)、宗達のは相当な迫力。今にも動き出しそう。国宝だけのことはありますね。
本館に移って、宗達の画を模写した尾形光琳の「風神雷神図屏風」も見てきた。だいぶ違いますね。でも、宗達の方がいいな。
こちらの写真は光琳のもの。
思ったよりはるかに充実した展覧会でした。
明日は最終日で混雑必至ですが、是非とも!
« 熊谷徹『あっぱれ技術大国ドイツ』 | トップページ | 多摩:ピエトロバルコーネ 多摩永山店 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 【特別展はにわ】(2024.11.25)
- 神代植物公園3(2024.11.19)
- 【カナレットとヴェネツィアの輝き展】(2024.11.04)
- 【英一蝶展】(2024.10.14)
- 【田中一村展】(2024.09.23)
コメント