【オルセー美術館展】
art-45 【オルセー美術館展】 国立新美術館
オルセー美術館展ってしょっちゅうやりますね。
それに、個人的には本家にも何度も行ったことがあり・・・
食傷気味かと思えばそうでもないんですね。
毎回、新鮮な感動があります。あれ、こんなのあったっけ?と思ったり、これは何度見てもいいなあと思ったり。
1章:マネ、新しい絵画
展覧会はマネからスタート。
といっても一枚目は、マネが、モネ、ゾラ、ルノワールらとともに描かれているバジールの絵。バジールは南仏の裕福な家の出で若い画家たちを支援するとともに自らも描いた人。わずか29歳で戦死してしまっているのが残念。
そしていきなりの真打ち登場。今回のポスターにもなっている「笛を吹く少年」。今でこそ素晴らしい作品とされているけれど、当時は非難囂々だった絵。確かにこののっぺり感は不思議と言えなくもない。
意外によかったのが静物画。うなぎの絵とシャクヤクの絵だったが、こういう小品もいいですね、マネ。
2章:レアリスムの諸相
クールベ、ミレー、コロー、ドービニーなど。
リアリスムといってもいろいろで、クールベよりはミレーの方が好き。今回来ていたのは名作「晩鐘」。静かに祈る農民の姿が夕景にぼんやりと浮かんで美しい。
そう、クールベの方がよりリアリストというか、ミレーの方が穏やかなんですね。
コローも落ち着いた色合いがいい。
この方向性のリアリスムとは違うと思うのだが、うれしや、カユイボットの「床に鉋をかける人々」がきていた。昨年のカイユボット展にはきていなくて残念に思っていたところ。これも大好きな絵の一つ。こういう題材はめずらしかったんでしょうね。今まで気づかなかったが右下にワイン?の瓶が・・・
3章:歴史画
歴史も題材はいろいろだが・・・
ドローネーの「ローマのペスト」は当時はやってペストの惨禍を描いているのだが、天使が悪魔に命じて家のドアをたたくと、その数だけ死者が出るという寓話的な作品なのだが、ぞくっとくる絵。
「ベリュスの婚約者」は生け贄となる娘が描かれている。足下には2匹のライオン、神官たちは生け贄を置いて去って行く・・・このあとどうなるの?という想像をたくましくさせる絵。
おなじみエキゾチックなジェロームもあったが、ドガの歴史画というのは意外。
4章:裸体
うれしやモローが!「イアソン」である。人物が中性的なのだが・・・
よくよく見ると隅々まで描きこまれているものがよくわからないものもあったりする。ギリシャ神話ももっとよく勉強せねば・・・
カバネルの「ヴィーナスの誕生」は当時はもてはやされたんでしょうか?波の上に浮かぶといよりは横たわる姿はちょっと変?
クールベは裸婦に関してもリアリスムを追求、これまた嘲笑されたという。確かに、いわゆる美しいとか優美とか言われるたぐいの絵ではない。
ルノワール、セザンヌはらしい絵。
しかし、この章で一番目立っていたのは、ブグローの「ダンテとウェルギリウス」。神曲の一節なのだけど、ブグロー、こんな絵も描くんだなあ。激しく戦う場面、大迫力。
5章:印象派の風景 田園にて/水辺にて
印象派勢揃い!印象派好きな方はやはりこのコーナーでしょう。
モネの「かささぎ」、これ大好き。雪の色合いが美しい絵で、ピンクだったり青だったりと決して白では表現していないところがポイント。中にかささぎがぽつんとアクセントになっている。
雪つながりで言うと、シスレーの2枚の雪の絵もきれい。
ピサロは今回はぴんとくるものがなかったけれど、セザンヌがやはりいいですね。
「首吊りの家」なんかもきているのだけど、セザンヌ的「草上の昼食」もいいんじゃないだろうか。「マンシーの橋」他、少しキュビズム的な雰囲気も。
ブーダンの「トルーヴィルの海岸」は、おや?デジャヴ?先日、損保ジャパンで見た絵とそっくりさんのような。
6章:静物
シャルダンの絵がきているかと思ったらそうではなくて・・・
シャルダンの自画像とシャルダンが描いた静物を描いた絵(ややこしい!)がきていて、シャルダンってこんな顔だったのか!と。
セザンヌの「スープ入れのある静物」は、テーブルのゆがみもなく、絵全体が明るく、りんごも腐っていない(笑)と思ったら、ピサロの家で描かれたものだったそうで。なので雰囲気が違うんですね。
7章:肖像
肖像画というのは対象となった人物を知っていればいいのだけど、知らないと、ふーんきれいな人だな、立派な人だなとしか思えないのが少々つらいのだが・・・
バジールの「家族の集い」は大きさもあるけれど、目をひく作品。バジールは南仏の裕福なワイン醸造家の家に生まれており、これは実家?明るい風景がまぶしい。
ホイッスラーの母親を描いた有名な作品もきている。モノトーンに近い色もあるのだが、静かな絵。音が何も聞こえないような・・・
セザンヌの「バラ色の背景の自画像」は、あれれ?セザンヌさん、帽子をとるとこんなだったの?ブリジストンの帽子をかぶった自画像を見慣れちゃってたんでなんか変な感じ。
モネのこれはあまり好きでない「死の床のカミーユ」。さすが画家魂とでも言おうか、妻の最期をここまでして描くとは!
8章:近代生活
今回の展覧会のもう一枚の目玉、モネの「草上の昼食」が登場。マネの作品に触発されて描かれた大きな作品だったが、家賃滞納で大家に没収され戻された時には損傷がひどくやむなく切ったため、2枚になっている。
正直なところ、右半分(クールベやカミーユ夫人が描かれている)の光の描写はモネ的ではあるが、まだまだ発展途上といった感じ。
ドガの二大テーマともいうべき、踊り子と競馬の絵が一枚ずつ。競馬ははみ出した構図がおもしろい。馬がいきいきと描かれている。そして、モネだったらやっぱりこれですね~「サン=ラザール駅」。これも好き。
9章:円熟期のマネ
ラストは再びマネ。
先日テレビで見てなんというバランスの絵!と思った「ロシュフォールの逃亡」。荒々しい波の描写はなかなかのもの。
しかし、特に気にいったのは、ここでも静物画。
「アスパラガス」である。
これまた、アスパラが手前に寄りすぎているというバランスのおもしろさがあるのだが、エピソードがほほえましい。アスパラ一束を描いた絵を売ったところ、多く支払ってくれたので、あなたに贈ったアスパラから1本抜けてましたと、この絵を追加で贈ったとか。。。
やっぱり、いいですね、オルセー。
前回、いったのはちょうど改修中で狭くなっていた時。
改修後のオルセーにも是非行きたいものです。
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