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2014/10/28

【フェルディナンド・ホドラー展】

art-50 【フェルディナンド・ホドラー展】 国立西洋美術館

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ウフィツィ美術館展を見終えて、閉館1時間15分前ではあったけれど、それほど混んでいなさそうということでホドラー展を見ることにした。
ホドラーといえば、ベルン美術館を訪れた際、たくさん見ているのだが、スイスの風景画というイメージしか残っておらず・・・
まとめて見られるのはうれしい限り。

PART1 光のほうへ-初期の風景画
展覧会は若き日の自画像からスタート。悩める自画像。
ホドラーは貧しいベルンの家庭に生まれ、母の再婚相手の元で絵を学び、長じてジュネーブに出て、風景画家として出発する。
バルビゾン派の影響を受けた作風から(スイス・・・ユングフラウやインターラーケンの絵、いいです)、スペイン旅行を経て変化、明るい風景画となる。
後年の風景画と違ってオーソドックスなできばえ。

PART2 暗鬱な世紀末?-象徴主義者の自覚
ホドラーは幼くして父親を亡くし、その後相次いで母親、兄弟を失って天涯孤独の身となる。そうした生い立ちも影響してか、次第に内省的になっていき、象徴主義へと近づいていく。
この頃の自画像は「怒れる人」と題名にあるように、内面の怒りを必死に抑えるかのような自画像。当時の評判は悪かったようだ。
題材も貧しい労働者や老人となり、暗さが漂う。
「アハシュロス(永遠のユダヤ人)」は、助けを求めるイエスを拒んだため永遠に放浪する身となったユダヤ人を描いている。老人の苦悩が感じられる絵。
インパクトがあるのは「傷ついた若者」。善きサマリア人を描いているとのことだが(サマリア人は消されている)、頭からは血が流れ、なんともショッキングな絵にはっている。この頃のホドラーにとって死も大きなテーマだったようだ。

PART3 リズムの絵画へ-踊る身体、動く環状
この後、ホドラーは「リズム」を描くようになっていく。
「オイリュトミー」はよきリズムという意味だそうだが、5人の男がうつむき加減に一方に向かって歩く姿(右から2番目の人がどうもマシュー・マコノヒーに見えてしかたない(笑))が不思議な雰囲気を醸し出す。
「オイリュトミー」が秩序正しく歩く姿なのと対照的に、「感情Ⅱ」の4人の女性は、服装も少しずつ異なり、手の動きや体の向きも異なり、一見不調和のように見える。そしてまた、こちらは背景もドレスも明るく、「オイリュトミー」が死をイメージさせるのに対し、生を感じさせる。
「昼Ⅲ」は、これまたホドラーが感心を持っていたパラレリズムの絵。類似する形態の反復、シンメトリー構造。この絵を描くにあたって、様々な構図を試してみたようで、習作と見比べるとおもしろい。
「悦ばしき女」、「恍惚とした女」、「遠方からの歌Ⅲ」は色もインパクトがあるのだが、その動きは前衛的な舞踏。後半の解説にあったのだが、これイサドラ・ダンカンだ!

PART4 変幻するアルプス-風景の抽象化
風景画も変化する。
風景画にもリズムを取り入れたというか、パラレリズムを表したというか。
そうそう、この部屋の絵が、ワタクシの覚えてるホドラーなんですね。
美しいスイスの風景が広がっているのだが、不思議な雲の形、湖水に写る雲、幾何学的な山(ちょっとセザンヌ的)。
よくよく見ると不思議な風景画なのだけど、美しい。
トゥーン湖を描いたシリーズがあったが、夕暮れのトゥーン湖がきれいだ。
少し距離を置いてぐるっとこの部屋を見渡すと、ホント素敵だ。

PART5 リズムの空間化-壁画装飾プロジェクト
ホドラーは、多くの壁画装飾を手がけている。
なるほど、こうしたパラレリズム、壁画にぴったりなのかも。
「全員一致」、力強い。これはやはり現物を見てみたいものだ。
「木を伐する人」と「草を苅る人」はスイスフランのデザインとなった絵。紙幣のデザインとは少々違っているが、これまた力強い絵である。

PART6 無限へのまなざし-終わらないリズムの夢
「無限へのまなざし」はチューリヒ美術館の階段間の壁画。
その製作過程がわかる習作がたくさん展示されていた。リズム絵画の集大成といえようか。
映像も流れていたが、かなり大きく鮮やか。
何年か前にチューリヒに行った時は、着いて一泊しただけで昼頃たってしまったから美術館に行けず、ホント残念。

PART7 終わりのとき-晩年の作品群
晩年、ホドラーは愛人が自分の子を産んだ直後、癌で亡くなるという悲劇に見舞われる。
画家というのは、妻や恋人の死までも克明に描くものなんだろうか。
ホドラーもたくさんの絵を残しているようだが、なんとも痛々しい。
「バラの中で死したヴァランチーヌ・ゴデ=ダレル」は、骨と皮の姿で、目を背けたくなるほどだ。
最晩年、ホドラー自身も病のため、自宅を出ることができなくなり、繰り返し部屋からレマン湖を描いている。
「白鳥のいるレマン湖とモンブラン」では、リズミカルな白鳥たちが描かれていて、最後までリズムを描いていたことがわかる。

ホドラー、少しクセがあるけれど、いいですねぇ。
チューリヒ美術館展も楽しみ!

外に出るとすっかり日が暮れていて、地獄の門がライトアップされてキレイでした。
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