【生誕200年ミレー展】
art-46 【生誕200年ミレー展】 府中市美術館
府中市美術館で開催されているミレー展に行って参りました。
三菱一号館でもミレーをやるし、オルセー美術館展にもきてたし、ミレー充実の年。
今回の展覧会、ミレーが生まれた小さな農村の近く、シェルブールの美術館、トマ=アンリ美術館からたくさん作品がきている。今、この美術館は改装中らしいので、それでたくさん貸してもらえたんですね。
全体に地味目な作品が多かったけれど、はじめて見る作品が多くてなかなかよかったです。
3枚の肖像画からはじまる。
妻の祖母、妻、妻の弟の肖像画である。
妻ポーリーヌ・オノの肖像画には引き込まれる何かがある。
第1章 プロローグ 形成期
ミレー、修行時代の絵である。
模写、習作などもあり、どうも画風は定まっていない。
まあミレーに限らず、画家の若い頃の作品は言われないとその画家の作品だとはわからないことが多いものだ。
「釣り人と青い服の少女」がやや後年の作品につながる画風だったか。
第2章 自画像・肖像画
ミレーは実にたくさんの肖像画を描いている。それも商業的なものだけでなく、家族や親しい友人を描いたものが多いという。
しかし、自画像はそれほど多くないらしい。2枚の自画像が展示されていたが、「自画像」は若い頃のもの、「毛糸の帽子の自画像」はその6年後の絵なのだが、ぐんと老けて貫禄が。
妻、ポーリーヌの絵が2枚(入り口に展示されていたのをあわせると3枚)。一番素敵なのは「青い服を着たポーリーヌ・オノ」だろうか。「部屋着姿のポーリーヌ・オノ」は青白くやつれた顔で痛々しい。ポーリーヌはこの時結核を患っており、まもなく結婚2年で亡くなったという。
2番目の妻となるカトリーヌ・ルメールの肖像画もあった。全く違うタイプの女性に見える。
おもしろいのは、シェルブール市長の肖像画。故人でほとんど資料もないまま描いたが、市議会から似ていないと受け取りを拒否されたとか・・・いやこれはこれで立派な肖像画なのだけど。
第3章 家庭・生活
いよいよ、いわゆるミレーらしい作品が登場。
母と子や、家族を描いた作品はどれもほほえましく、暖かい。
エッチングや鉛筆書き、版画などの小品も多く展示されていたが、これもいいですね。
どれか一つと言われたら、「食事の支度をする若い母親」もいいのだけど・・・
やっぱり「子供たちに食事を与える女(ついばみ)」かな。雛にえさを与える親鳥に模して、子供にスプーンで食べ物をすくってあげるお母さんを描いているのだが、ホント、かわいい。
第4章 大地・自然
「種をまく人」は全部で5枚あるそうですね。
今回はそのうち、1番目に描かれた作品と2番目に描かれた作品が出展。
1番目の作品はなんと府中市美術館に寄託されたもの。ごくごく小さな作品で、パッと見、種をまいているとはわからない。暗くてよくわからないのだが、背景は海の模様。
2番目の作品は、ウェールズ国立美術館所蔵のもので、これは明確に種まきとわかる。
今度、三菱一号館で3番目に描かれたものがくるし、4番目に描かれたものは山梨ですでに見ているから、あとは最後に描かれたものだなあ・・・未完の大きな作品で、カーネギー美術館蔵とのこと。
山梨県立美術館からは「落ち穂拾い、夏」もきていた。
今回、気にいったのは2枚の「鵞鳥番の少女」。ウェールズと日本にあるのと。どちらもかわいらしい作品。
ミレーの農村を描いた作品はどれも落ち着いていて、静かな余韻があるのだけど、「羊の毛を刈る女」はちょっと緊張感が。男性が羊を押さえ込んで、女性が羊の毛を刈っているのだけど、若干羊の皮膚に血が・・・
邸宅の壁画ように描かれた四季の連作のうち、春と冬が展示。何度も見たことがあると思ったら、春(ダフニスとクロエが描かれる)は西洋美術館にあったのか。これ、正直、ミレーっぽくない作品。どちらかというとキレイと形容できる絵。冬は凍えたキューピッドのエピソードを描いており、このあとどうなったかを知っているとふふっと笑ってしまう。
晩年は風景画をよく描いたようで、ここでも何作か。風景画もなかなかいいですね。
これは、三菱一号館の方も是非行かねば!
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