マージェリー・アリンガム『霧の中の虎』
本日の本
book-38 『霧の中の虎』 マージェリー・アリンガム著 ハヤカワ・ミステリ
STORY:再婚を控えたメグ。戦争で亡くなったとされる前夫の写真がメグの元に送りつけられる。前夫の生存を示唆する写真に動揺したメグは探偵キャンピオンとルーク主任警部に相談。駅で現れた男は・・・
☆☆☆イギリス四大女流ミステリ作家アリンガムの長編。
先日、短編集を読んだらまずまずおもしろかったので、長編を読んでみた。
アリンガムは日本では紹介が遅れた作家の一人で、あまりないのが残念ですね。
第二次世界大戦後。霧に包まれたロンドンという舞台がとても魅力的。いかにも何か事件が起きそう・・・
メグの前夫をめぐる事件を発端として、脱獄囚の殺人事件、メグの婚約者の失踪事件がからんで、次第に恐るべき犯罪者の存在が明らかになる・・・
といったストーリー。
はじめはそれぞれの事件がどうからんでくるのかわからないところがサスペンスで、後半、犯人というか犯罪者が明らかになったあとは、追い詰められていく様子がサスペンス。
プラス、後半には宝探し的要素もあってワクワク。
でも、このお話の肝は、犯罪者・・・悪魔のような男を描くことにあったのだろう。
その男と、善良な神父との対決に続くラスト。こういう結末しかないという余韻のあるラスト。
こういうサスペンスと思わずに読んだので意外な感じがしたが、これはこれでよし。
ただ・・・このお話に探偵キャンピオンを登場させる必要ありました??
短編集に登場したキャンピオンはまだ若かったが、すでに結婚して子供もいる設定。オーツ警視は副総監になっていてちらっと登場するのみ。
てっきりキャンピオンが大活躍して犯罪者を追い詰めるのかと思いきや、ほとんど活躍もせず、途中でフェイドアウト。うーん、なんなんだ・・・
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