ヴィヴェカ・ステン『静かな水のなかで』
本日の本
book-1 『静かな水のなかで』 ヴィヴェカ・ステン著 ハヤカワミステリ文庫
STORY;魚網に引っかかった男性の死体が発見された。単なる事故として片付けられるところだった事件だったが、その男性の従姉妹が殺害されたことから急展開。トーマス警部は幼なじみの女性弁護士ノラの助けを借りつつ事件解決にあたる。
☆☆☆スウェーデンの人気ミステリ第1弾。
まだまだ続く北欧ミステリー、マイブーム。
今度はスウェーデンのミステリである。
主人公は、幼い娘を亡くし離婚したトーマス・アンドレアソン警部と、幼なじみの女性弁護士ノラ。
夏のスウェーデンが舞台ということで、日差しも強く結構暑そうな雰囲気なのだが、事件自体は暗い。ひょんなことから関わりを持つことになってしまった人物たちが悲劇に見舞われるというお話なのだが、実にむなしい。
この事件とともに、というか比重が大きいのが、主人公たちの私生活。
トーマスは、生まれたばかりの娘を亡くし、それが元で離婚することになって、未だ立ち直れず、仕事にひたすら打ち込む警察官。
もう一人の主人公は、トーマスの幼なじみの女性弁護士で、銀行の法務部に勤めるノラ。ノラは、医師の夫と二人の子供と暮らすキャリアウーマンだが、夫がノラの仕事に理解がなく、自分勝手で悩んでいる。せっかくの昇進のチャンスも夫につぶされそうに・・・
トーマスも不幸なのだけど、圧倒的に比重が置かれているのがノラで(作者が同じようなキャリアウーマンだった女性というのもあるのだろうけれど)、同じ女性としてはついつい感情移入。次作以降、夫との関係、キャリアがどうなるか気になるところだ。ノラって名前が象徴的なんですね。人形の家の主人公と同じ名前だから・・・
トーマスとノラは幼なじみというだけ、とは思うのだけど、2人の接近もある??
この点も気になる。
ミステリとして言うと、途中(ノラは気づいてない時点で)、あ、この人が・・・というのがわかってしまうのだけれど、いくつかの事件が絡み合っているので、最後まですべての謎はとけず・・・
やはり、今年も北欧ミステリを読みたいと思う。
« サントリー プレミアムモルツ〈黒〉 | トップページ | 「ハートに火をつけて」 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- クリス・マクジョージ『名探偵の密室』 (2023.09.06)
- 青柳碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました』 (2023.08.30)
- エリー・グリフィス『見知らぬ人』(2023.08.24)
- C・A・ラーマー『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』(2023.07.07)
- ボブ・ラングレー『北壁の死闘』(2023.07.05)
コメント