【新印象派展】
art-7 【新印象派展】 東京都美術館
昨日から都美術館で開催されている新印象派展に、昨日初日に行って参りました。
初日だから混んでるかなと心配だったけれど、思ったよりは混雑なし。並ばずに入場できたし。
新印象派というと、一昨年、国立新美術館にて【印象派を超えて 点描の画家たち展】を見ているが、若干視点が異なるのかな、ということを期待しつつ鑑賞した。
プロローグ 1880年代の印象派
新印象派の画家たちに影響を与えた印象派の画家たちの絵からスタート。
モネ3点、ピサロ3点。
確かにモネの絵を見ていると、これが新印象派へと発展していくのかもと思わせる。特にモネの「税官吏の小屋・荒れた海」は、構図がおもしろいということは置いておいて・・・荒れた波、小屋が短い筆触で描かれており、点描になっていきそうな気配を感じる。
初期のスーラも2枚あったが、まだ点描一歩手前であった。
第1章 1886年:新印象派の誕生
第8回の印象派展(最後の印象派展)にはモネ、ルノワールなど主要な印象派画家は参加せず、かわって注目を集めたのが点描のスーラやシニャック。この年、美術批評家フェネオンが命名したのが、新印象主義だった。
ピサロは唯一、すべての印象派展に出品した画家だが、若い画家たちの影響を受け、点描画を描いていた時期があったのはおもしろい。
点描という技法をはじめたスーラ。スーラといえば、「グランド・ジャット島の日曜日の午後」だが、今回は習作が4点きていた。習作といっても完成されたもので、こんなちっちゃなのもいいですねぇ。完成品はとても大きい絵だけど。
パンフやポスターにもなっているスーラの「セーヌ川、クールブヴォア」も素敵。描かれている女性が「グランド・・・」に描かれている女性に似ているような。
シニャックはスーラと知り合ってすぐに点描画を描きはじめたわけではないようだ。第8回印象派展に出品された中でもあまり点描っぽくないのもあった。
第2章 科学との出合い-色彩理論と点描技法
スーラとシニャックのパレットが展示されていた。二人とも意外に綺麗な使い方。まあ、パレットで色を混ぜるのではなく、点で描いて、見る人の目で混ぜられる・・・という絵だから綺麗なのかな。
新印象派の画家たちは色彩理論を学んで描いていて、科学的な絵と言える。
ルイ・アイエの空の習作は非常に実験的。
第3章 1887-1891年:新印象派の広がり
パリで生まれた新印象派は広がりを見せる。
フランスでは、ルイ・アイエ、デゥポワ=ビエ、ベルギーではフィンチ、レイセルベルヘ、オランダのトーロップ。
ルイ・アイエのパリの街角を切り取った小品もよかったが、一番気にいったのは、マクシミリアン・リュスの「ルーヴルとカルーゼル橋、夜の効果」。セーヌ川に映る光がとても美しい。
シニャックの「髪を結う女」は実験的な作品。色が劣化しないよう、蜜ろうで描いているのである。ミイラの棺からヒントを得たという。
レイセルベルヘの「マリア・セート、後のアンギ・ヴァン・ド・ヴェルド夫人」は人物画の点描画だが、なんとまあ細かい。よく見ると渦の模様になっている。
スーラの「ポール=アン=ベッサンの外港、満潮」は絵の中に枠が描かれ、額縁にも点描が描かれている。おもしろい。
第4章 1892-1894年:地中海との出合い-新たな展開
スーラが31歳の若さで亡くなったあと、点描画の中心となったのはシニャック。シニャックは南仏に移住、同じく南仏に住んだクロスもまた新印象派を引き継いでいる。
南仏に移ってからのシニャックの作品は、色が鮮やかになった感じ。
どちらかというと暗めの色のリュスの絵も、南仏を描いたものは明るい。
この章にもレイセルベの人物画やロジェの人物画があったが、点描の場合、風景の方が似合うような気がする。
第5章 1895-1905年:色彩の解散
シニャックもクロスも、画風が変化していく。
シニャックの点描は次第に大きくなっていき、クロスの点描は色が派手に。派手にというのは、鮮やかな色遣いというのもあるし、補色を効果的に使っているというのもある。クロスに関して言えば、ワタクシ的にはもうちょっと穏やかな絵の方が好きなのだが。
マクシミリアン・リュスが3枚。フランス北部やベルギーの工業地帯に取材した作品とのこと。労働をテーマにした作品もいいなあ。いずれにせよ、光と闇のコントラストが美しい画家で、今回一番気にいった画家だった。
エピローグ フォービズムの誕生
シニャック、クロス、さらに進化。抽象画への領域に少し踏み込んだ感じ。
シニャックはあちこちに旅をしながら描いているが、やはりヨーロッパ北部を描いた絵は色調が暗め、南部を描くと明るい。
点描がフォービズムへ?
そうかなあと疑問だったが、マティスはシニャックの招待でサン=トロペに滞在し、クロスとも親交を深めたとか。マティスの点描画が一枚あったが(未完成?)、その道に進むことなく、フォービズムが誕生している。
強烈な色、点描を究極まで大きくすればフォービズム?
まあ、一つのきっかけになったということだろう。
点描好きな方は是非どうぞ。
« 四ッ谷:じっこ | トップページ | 【幻想絶佳 アール・デコと古典主義展】 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 【英一蝶展】(2024.10.14)
- 【田中一村展】(2024.09.23)
- 【生誕130年 芹沢銈介の世界展】(2024.09.14)
- 【ルーヴル美術館の銅版画展】(2024.08.23)
- 【フィロス・コレクション ロートレック展 時をつかむ線】(2024.08.21)
コメント