【パスキン展】
art-9 【パスキン展】 パナソニック汐留ミュージアム
日本では16年ぶりというパスキンの回顧展に行って参りました。
パスキンは、エコール・ド・パリの画家で、藤田嗣治やキスリングの友人だった画家。まとまって見るのははじめてかもしれない。
1 ミュンヘンからパリへ
パスキンはブルガリア生まれ。ミュンヘンで修行後パリへと移っている。
ミュンヘンは諷刺雑誌の挿絵を描き、素描画家として成功していた。
数点展示されていたが、非常に細い、細かい線で描かれており、高い技術を持っていたことがわかる。
2 パリ、モンパルナスとモンマルトル
パリにきてからの素描も数点。
「酔ったナポレオン」など楽しい素描である。
その後、独学で油彩を学んだパスキン。将来の妻となるエルミーヌを描いたなどがあったが、まだまだという感じ。パスキンの特徴は出ていない。
この頃、パスキンは本名の綴りを変えて、パスキンと名乗るようになっている(Pincas→Pascin)。
3 アメリカ
戦火を逃れアメリカに渡りアメリカ国籍を取得したパスキンは、エルミーヌと結婚。
ニューヨークが寒すぎて、冬は南部やキューバなどで描いたという。
暖かい気候に影響されてか、色が明るく暖かく変化している。
「キューバでの集い」などは、素描の延長の油彩という雰囲気だが。
4 狂騒の時代
パート1 スタイルの獲得
パリに戻ったパスキンは、自分のスタイルを獲得する。
真珠母色の絵である。
ポスターになっている「少女-幼い踊り子」をはじめ、少女、女性を柔らかく描いた作品が並び、パステル画を見ているかのようだ。
パート2 素描、版画など
油彩と並行して素描も描き続けていたし、ドライポイントやエッチングなども製作している。
素描がなかなかいいんですね。ユーモア・・・だいぶドライなユーモアがたっぷり詰まっていて。例えば「ヘロデ王の前で舞うサロメ」などはだいぶ変だし、童話を題材にとった作品もまったくかわいらしくないのであるが。
過度のアルコール摂取で体を悪くし、パーティに明け暮れるなど自堕落な生活を送っていたパスキン。自身を聖書の放蕩息子に重ね合わせ、多く描いている。自身は故郷には戻らなかったとのこと。
パート3 真珠母色の絵画
最後は真珠母色絵画のオンパレード。これこそパスキン!
なかでも、愛人リュシーを描いた作品がいいなあ。
10年ぶりに再会したパスキンとリュシーはお互い結婚しており、不毛な恋愛関係に疲れたパスキンは、画廊との確執、自身の病気もあり、45歳の時、自殺してしまう。まだまだ素晴らしい作品を描けただろうに、残念なことだ。
最後の方の作品はやや退廃的な雰囲気もあるが、淡い色彩は健在。
「ダンス」だけは、マティスっぽかったけれど、真珠母色の絵画を堪能した。
貴重なパスキンの展覧会、是非どうぞ。
« 「カポーティ」 | トップページ | キリン のどごし生 ALL LIGHT »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 【特別展はにわ】(2024.11.25)
- 神代植物公園3(2024.11.19)
- 【カナレットとヴェネツィアの輝き展】(2024.11.04)
- 【英一蝶展】(2024.10.14)
- 【田中一村展】(2024.09.23)
コメント