【ボッティチェリとルネサンス展】
art-25 【ボッティチェリとルネサンス展】 Bunkamuraザ・ミュージアム
松濤美術館でイヌ展を見に行ったあと、文化村に移動、ボッティチェリとルネサンス展を見て参りました。
なんと、工房作品を含む17点ものボッティチェリ、しかもその多くが日本初公開。これは是非行かねばと。
序章 富の源泉 フィオリーノ金貨
フィオリーノ金貨がルネサンス期に国際通貨となったことから、フィレンツェはヨーロッパ経済の中心となり繁栄したという。
この金貨、表にはフィレンツェの百合の紋章が、裏には洗礼者聖ヨハネが刻印されている。ちょっと見づらいけれど・・・
本物かどうか確かめるためか、噛みあとのある金貨もあった。
第1章 ボッティチェリの時代のフィレンツェ-繁栄する金融業と商業
そして、いきなり登場するのがボッティチェリの「ケルビムを伴う聖母子」。
額縁がぐるりと金貨で囲まれており、そのことから両替商組合本部に飾られていたと考えられているらしい。マリアがやさしげな表情を見せている。
金融業で栄えたフィレンツェならではの展示品も。模写作品「両替商の妻」と「高利貸し」が興味深い。特に高利貸しの人相が悪く、なんとなく、シャイロックを連想させる。
第2章 旅と交易 拡大する世界
この時代、商人の息子は十代になると旅に出されたとのことで好まれたモチーフがトビアスと大天使ラファエル。ボッティチーニの作品がまさにこのテーマ。
病に伏せる父親がお金の回収のため、息子トビアスを旅に出した際、無事を祈る両親の願いを聞き入れて大天使ラファエルが旅に同行したという旧約聖書の物語。
このモチーフがなんと、ボッティチェリの「受胎告知」にも小さく描かれている。メインテーマはあくまでも受胎告知なのだけど、外にラファエルとトビアスが見える。おもしろい受胎告知の絵。
第3章 富めるフィレンツェ
この頃、ヨーロッパでは奢侈禁止令が出されている。華美な服装、装飾、婚礼や葬儀も対象になったとのこと。
それに従い、フラ・アンジェリコの「聖母マリアの埋葬」と「聖母マリアの結婚」も地味に描かれたとのことだが、埋葬はともかく結婚の方は結構豪華な気が・・・
第4章 フィレンツェにおける愛と結婚
カッソーネ(長持ち)に描かれているのが、スケッジャの「スザンナの物語」。一枚に、順を追ってストーリーが展開していく様子が描かれていて、おもしろい。スザンナと長老の物語は嫁入り道具の長持ちにぴったりのテーマかも。
第5章 銀行家と芸術家
この展覧会のハイライトである。
ボッティチェリづくし!
聖母子、聖母、聖ヨハネ、天使・・・
どれもいいのだけど、やはり5月6日までの限定公開の作品「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」だろうか。非常に鮮やかで、また植物や背景の描き込みが細かい。ぱっと目をひく作品である。ヨハネの毛皮がちょっと変な気もするが・・・
そして、大迫力なのが、フレスコ画「受胎告知」。
ガブリエルの背後からマリアまでつながる光の線が神々しい。ガブリエル、浮いてる??
「キリストの降誕」はすみずみまで見るべし!いろいろなもの、人が描かれている。
第6章 メディチ家の凋落とボッティチェリの変容
メディチ家の凋落により、パトロンを失ったボッティチェリ。
次第に修道士サヴォナローラの思想に傾倒していき、作風も大きく変化する。
色味がなくなり、不自然なゆがみも。華やかさがすっかり影をひそめて、うーん、晩年の作品はあまり好きではないなあ。
サヴォナローラの火刑を描いた絵もあった(ボッティチェリじゃありません)。
裁判、処刑台へ連れて行かれるところ、火刑の場面が一枚の絵におさめられている。
ボッティチェリの作品のみならず、フィレンツェの栄枯盛衰も見どころ。
是非どうぞ。
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