ポール・アダム『ヴァイオリン職人の探求と推理』
本日の本
book-16 『ヴァイオリン職人の探求と推理』 ポール・アダム著 創元推理文庫
STORY:イタリアのヴァイオリン職人ジャンニの同業者で親友のトマソが殺害される。トマソは幻のヴァイオリンを探していたらしい。ジャンニはカルテットを組む友人の刑事アントニオに協力して事件を追うが・・・
☆☆☆ヴァイオリン職人が探偵役をつとめるミステリ、開幕。
カルヴィニアシリーズというヴァネツィアを舞台としたミステリを読んだところで、やはりイタリアを舞台にしたミステリを読んでみようということで手にとった本。
いずれも作者はイタリア人じゃないんですけどね。
で、この本の主人公はヴァイオリン職人。
いやー、おもしろい探偵ですよね。
ヴァイオリン職人が探偵役というのは設定上、難しかったのか、息子同然の刑事に協力して(専門知識を駆使してアドバイスするという立場で)、犯人を追うという設定。
いやー出てくるわ出てくるわ。
音楽業界の内幕、エピソード、楽器にまつわる蘊蓄。
それほど詳しくないワタクシではありますが、へーとかホーとか感心しつつ読み進めた。
犯人の追及が目的だったはずなのだけど、やがてある楽器にまつわる謎の探求へと目的が変わっていき・・・
いや、もちろん、2人も人が殺されるわけだから、犯人を捕らえることは目的なのだけど、「謎」の方に次第に重点はうつっていくのである。
この過程で、ジャンニとアントニオはあちこちへ旅するのだが、少ないヒントから次から次へと追っていく様子が、冒険映画のようで楽しかった。
正直、推理に関しては今ひとつ(唐突だし)なのだけど、それよりも「謎」の探求の方がおもしろかったので、よし。
刑事の活躍がちょっと少なかったのが残念だけど、次作に期待しましょう。
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