【鴨居玲展】
art-31 【鴨居玲展】 東京ステーションギャラリー
北陸新幹線開通記念だそうである。
鴨居玲は金沢生まれだからですね。
この人の絵は何枚かは見たことがあるが、まとまって見るのははじめて。
第1章 初期~安井賞受賞まで
初期は模索の時代が長かったか、いろいろな画風の絵がある。
ごく初期はシュルレアリスムにはまっていたか、それはそれでよいのだが、特徴はないかも。
いやでも後年出てくる青や赤の色を使った絵は目をひくものがある。
転機になったのが、安井賞を受賞した「静止した刻」。
サイコロ遊びをする男たちが描かれているのだが、異様な顔立ちの男たちが浮かんでいるような、そしてサイコロが静止しているという・・・不思議な絵である。別バージョンの絵も同時に展示。
第2章 スペイン・パリ時代
その後、スペインへと渡る。
老婆や酔っ払い、廃兵などお気に入りのモチーフを見つけ、この頃が絶頂期。
デフォルメしたのではないかと思える老婆の絵(だがモデルとなった老婆の写真を見るとそうでもない・・・)はちょっとグロテスク。
酔っ払いはなんだか楽しそうで、いい年した息子が母親に叱られるという「おっかさん」などはユーモラス。画面は暗いのだが(パリに移ると画面は明るくなる)。
重要なもう一つのモチーフが、教会。
全部で8枚の教会の絵が展示されていたが(第1章、3章も含む)、最後には教会は空に浮かんでいるのである!幻想的であるが、教会と言われないとわからないくらいに抽象化されている。
第3章 神戸時代 一期の夢の終焉
帰国した鴨居は、神戸に住み、裸婦など新しいモチーフを描いてみたりするがうまくいかず、行き詰まる。
「1982年 私」は、それまで描いてきたモチーフを盛り込み、自身はうつろな症状で座っている。苦悩が伝わってくるようだ。
最後は自画像が続く。
「出を待つ(道化師)」は、道化といっても自身の姿であり、強烈な赤色が印象的。
「自画像(絶筆)」は鴨居が自死した際、イーゼルに置かれていた未完成の絵だがこちらも赤で、痛々しい。
第4章 デッサン
鴨居は1枚の絵を描くために100枚ものデッサンを描いたという。
完成された絵にも劣らないクオリティのデッサンの数々も展示されていた。
とてもいい展覧会でした。是非どうぞ。
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