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2015/06/17

【ユトリロとヴァラドン展】

art-33 【ユトリロとヴァラドン展】  東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館

1506171
損保ジャパン日本興和美術館(長すぎる!)で開催されているユトリロとヴァラドン-母と子の物語展を見て参りました。
ユトリロはしばしば見ているものの、その母ヴァラドンの絵はあまり見たことがなかった気が(ポンピドゥーにたくさんあるようなので実際は見ているのだろうけど)。
ユトリロの母・・・といえばひどい母親というイメージしかなかったのだが・・・

第1章 ヴァラドンとユトリロ、ふたりの芸術家の誕生
自身も私生児であるヴァラドンは18の時に父親のわからない子を産んでいる。それがユトリロ。
ヴァラドンはサーカスの曲芸師だったが怪我で引退、画家のモデルへ転向。シャヴァンヌ、ルノワール、ロートレック、ドガなどが彼女をモデルとして絵を描いた。
ルノワールの「都会のダンス」や、シャヴァンヌの「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」などが有名。
その後、自分も絵を描くようになったヴァラドン。ドガにはデッサン力をほめられたということだが、確かに初期の「裸のユトリロ身体を拭く祖母」や愛犬を描いた絵など、その力が見てとれる。
一方、母親に省みられず祖母に育てられたユトリロは、祖母が酒好きだったこともあって、10代にしてすでにアル中に!その治療の一環として絵を描きはじめたという。
はじめから風景画なのだけど、まだユトリロ的ではなくて、灰色の(北フランスの冬は確かにこんな色の空)風景が広がっていた。
ちなみに、スュザンヌ・ヴァラドンのスュザンヌは本名でなく、かなり年上のルノワール、シャヴァンヌのためにヌードのモデルになっていたのを、旧約聖書の物語のなぞらえてロートレックが揶揄してつけたものとのことだ。

第2章 ヴァラドンの再婚とユトリロの「白の時代」
ヴァラドンは資産家ムジスと結婚、落ち着いたかに見えたが・・・
44歳のとき、ユトリロの友人ユッテルと恋に落ち、結局49歳の時にユッテルと再婚している。衝撃を受けたユトリロはさらに、ユッテルたちに絵の管理を受け、次々と絵を描かされることになった。ヴァラドン、ひどい母親だな~と思ってしまうが、皮肉なことにこの奇妙な3者の関係が、ユトリロの白の時代を生み出すわけである。
ラパン・アジル、サクレ・クール他、モンマルトルのおなじみの題材だけれど、やはりユトリロはこの白の時代の絵が素晴らしい(というか、ワタクシ的にはこの時代のが一番好き)。
一方、ヴァラドンにも変化が。
元々力強かった絵はさらに力強くなり、神経質なユトリロの絵とは対照的にダイナミックで、男性的。
当時女性画家が裸体画を描くことはあまりなかったようだが、ヴァラドンはたくさん描いており、なかなか強烈である。
「裸婦の立像と猫」の猫がふてぶてしくてかわいい。
風景画も、息子とは対照的に色彩豊か。この風景画にしても静物画にしてもどこかセザンヌ的である。

第3章 ヴァラドンの円熟期とユトリロの「色彩の時代」
ユトリロとは異なり、ヴァラドンは人物画を多く描いているが、「モーリス・ユトリロの肖像」、これもまたセザンヌのような、ゴーギャンのような・・・女性が描いたものとは思えないほど力強い。
「野兎と雉と林檎のある静物」や「鴨」などの静物画はちょっと生々しくて怖いくらいだが、「花瓶の中のリラの花束」はまだ穏やかな方。リラの色合いが美しいが、構図が・・・ヴァラドン、どうしてもめいっぱい描きたいのか、上がだいたい切れてるという(笑)。そこもまたダイナミックさの現れでしょうか。
そして、ユトリロはといえば、この頃から白だけでなく、色が加わるようになり明るい絵へとなっていく。

第4章 晩年のヴァラドンとユトリロ
ユトリロは50代になって5つ年上の未亡人と結婚、その後絵の管理をしたのは妻だった。しかし、ヴァラドンが72歳で亡くなると、ユトリロは衝撃のあまりお葬式にも参列できなかったというから、精神的な依存はずっと続いていたのだろう。恐るべし母親!
まあでもこの存在があったからこそ、ユトリロという画家が生まれたわけで・・・
ユトリロは晩年になっても、絵はがきや、自分が昔描いた絵を参考にしながらモンマルトルの絵を描き続けている。実際にモンマルトルに住んだのは短期間だったし、外で絵を描いていると近所の子供たちにからかわれたりして、外での写生をいやがったとのことなので、実際に目にしながら描いた風景は少ないということと、定規を使って描いていたということ(どおりでまっすぐな!)が驚きだった。
風景画がほとんどの中にあって、わずかに静物画の展示もあり、やはりヴァラドンの絵とは違って繊細な味わいなのだった。

ヴァラドンの力強い絵を是非どうぞ。

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