【風景画の誕生展】
art-40 【風景画の誕生展】 Bunkamuraザ・ミュージアム
Bunkamuraで開催されているウィーン美術史美術館所蔵・風景画の誕生展に行って参りました。
渋谷はいつもにもまして混み混みで、美術館にたどり着くまでが大変・・・
有名な絵はきてないじゃん、なんて言ってはいけませんよ。
風景画がどのようにして誕生したかというとおもしろい視点で構成された展覧会です。
第1章 風景画の誕生
第1節 聖書および神話を主題とした作品中に現れる風景
昔々、絵画で一番権威があったのは歴史画で、風景は背景に描かれるものでしかなかった。
多分、こういう展覧会じゃなければ、背後に描かれた風景までじっくり見なかったかもしれない。
あまりに小さくて見落としてしまいそうだけれど、よくよく見ると、あらここに、復活後のキリストが描かれてる!とかあらたな発見があったりする。
ブリューゲルが4枚あり(子×2、父×2)、さすが花のブリューゲルだけあって、花がきれい。主題は聖書で、森が描かれた風景画ともいえるけれど、花が主題に思える。
パティニールは風景画の先駆者で、デューラーは「素晴らしい風景画家」と呼んだそうだが、青がパッと目に飛び込んできて(寒色は奥に見えるという視覚的効果により奥行きを出したという)、思わず主題を忘れてしまいそうだが、「聖カタリナの車輪の奇跡」はその題のとおりカタリナを描いている。その他にも細々と描かれているのだが、もうちょっとこのあたりも解説してほしいところだった。
これも風景画?というのが、ボスの模倣者による「楽園図」。この不気味な風景は現実の風景ではないので・・・神々や冥界を描いた絵も、風景画?と思ったけれど。
第2節 1年12カ月の月暦画中に現れる風景
月暦画、いいですねぇ。
美術史美術館には、バッサーノの月暦画が9、10、12月以外は揃っているそうで、その全部がきていたのだが、その月に象徴的な動植物、労働、自然風景を描き、空にはその月の星座が描かれているという暦のようなもの。
1月は狩り、2月は謝肉祭、4月にチーズ造り、6月だったかな、麦の収穫、8月にワイン収穫のための樽造り・・・などなど。野菜も旬のものが描かれていて、これはわかりやすいですね。
星座がちょっと笑っちゃうのもあるけれど(蟹座はザリガニとか)、おもしろかった。欠けてる月も見たいなあ。
ファルケンボルフの月暦画は、宗教主題と組み合わさっていて、過去と現在が混在しているようで不思議な画面になっている。東方三博士がキリストのもとを訪れている横で、スケートをやってるとか・・・シュール。
スケートといえば、フックの「ブリュッセルの水濠でのスケート」ではよくよく見るとたくさんの人が、つるっと滑ってこけている・・・
第3節 牧歌を主題とした作品中に現れる風景
羊飼いのいる風景画など、大変牧歌的な絵が並ぶ中、廃墟を描いた作品も。
廃墟の画家ロベールを一瞬思い出したりしたが、当時のオランダではイタリア風絵画、イタリア風景画がはやったらしい。実際に訪れたことがない画家もイタリアの風景を描いたりしたそうである。明るい風景に惹かれたのだろうか。
第2章 風景画の展開
第1節 自立的な風景画
17世紀に入って、ようやく独立して描かれるようになった風景画である。
村の風景、山の風景、川の風景、森の風景、海の風景とジャンルは細分化されていく。
ようやくここでよく知った名前が。
ロイスダール(ライスダール)である。
しかし、ロイスダールより気にいったのはアールト・ファン・デル・ネール。月明かりに照らされた船が描かれた絵であるが(少々月明かりが明るすぎる気もするけれど)、美しい。
第2節 都市景観としての風景画
最後は、景観図。
やはりカナレットですね。この人、ホントに筆が細かい。ヴェネツィアいいなあ。また行きたい。
そして、こうした都市の景観図は、今の景観との違いを見つけるのがまた楽しみで、今回もポン・ヌフ、今はこんなじゃないよねとか、サン・ピエトロ広場、まだ建設途中ねとか言いつつ見てました。
風景画が好きな方は是非どうぞ。
« 【モネ展】 | トップページ | 渋谷:俺流塩ラーメン 東急本店前店 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 【特別展はにわ】(2024.11.25)
- 神代植物公園3(2024.11.19)
- 【カナレットとヴェネツィアの輝き展】(2024.11.04)
- 【英一蝶展】(2024.10.14)
- 【田中一村展】(2024.09.23)
コメント