【ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展】
art-48 【ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展】 パナソニック汐留ミュージアム
新国立美術館でニキ・ド・サンファル展を見た後、新橋へ移動、ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展を見ました。
第1章 1886年 ゴーギャンの最初の滞在
ゴーギャンと銘打たれていてポスターもゴーギャンなので、ゴーギャン展を錯覚してしまいがちだが、ゴーギャンを入り口としたポン=タヴァン派の展覧会と言った方がよい。
出だしのこの章では、軽く習作、スケッチが主で、大きな作品はポーラ美術館の「ポン=タヴァンの木陰の母と子」くらいなもの。このゴーギャンの作品はどちらかというと印象派に近く、まだ新しい作風は確立していない。
第2章 統合主義の創出
やがてゴーギャンはベルナールとの出会いをへて、統合主義(客観的な現実と想像力から生み出されるものを同じ画面に描く)を生み出す。そして、クロワゾニスム・・・黒い輪郭線で区切られた中に奥行きのない色面で構成する・・・で描くようになる。
確かに「2人のブルターニュ女性のいる風景」にしても「2人の子供」にしても実に平面的である。
「玉ねぎと日本の版画のある静物」は、非常にセザンヌ的(実際、セザンヌは画法を盗もうとしているのではないかと疑ったという)。後ろに描かれている浮世絵?は日本趣味的。
ベルナールの作品は太い線で平面的であって、まさに統合主義なのだろうけれど、ワタクシの趣味にはあわず(少なくとも今回の出品作品にびびっとくるものはなかった)。アンリ・モレは結構好き。
セリュジエは、ゴーギャンに教えられたとのことだが、ナビ派。パッと見た印象は、これが発展するとドニになるなということ。
気になった作品としては、フィリジエの「ル・プールデュの風景」。これはおもしろい。空かと思ったところがどうやら海でヨットが描かれ(でも空に浮かんでるみたい)、海藻かと思ったものがどうやら木の模様。ここまでくると抽象絵画といっていいくらいだ。
第3章 ル・プールデュでの滞在とグループの拡大
セリュジエの「呪文あるいは物語 聖なる森」に似た作品として、ラコンブの「赤い土の森」という作品がある。この作品のみならず、ラコンブは色の対比が印象的で、グラフィカルでもあって、この展覧会で一番気になった画家だった。構図もおもしろい。
第4章 ブルターニュでの最後の滞在、そして最後の仲間たち
タヒチに向かったゴーギャンは一度はフランスに戻り、ポン=タヴァンにもまた滞在している。「タヒチの風景」はその際描かれたものらしいが、いわゆるタヒチでの作品よりは地味目である。
この章の中心になるのはドニ。やっぱりいいな~ドニ。なんともいえない淡い色使いが好きだ。
リュスの作品が1点あったが、リュスはどちらかというと点描ではなかったっけ?新印象派展で何点も見た気が。今回出ていた作品は点描って感じではなかったけれど。
むしろ、点描っぽかったのはビュイドゴー「藁ぶき家のある風景」。これは朝やけか夕焼けを描いた風景かと思うが、空そして海の色がとても美しい作品であった。
ポン=タヴァン派に注目した展覧会というのは今までなかったような・・・
是非どうぞ。
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