【英国の夢 ラファエル前派展】
art-8 【英国の夢 ラファエル前派展】 Bunkamura ザ・ミュージアム
森アーツセンターギャラリーから移動して、文化村へ。
ラファエル前派展を見て参りました。
ラファエル前派展といえば、2本ほど前に森アーツで見ているのだけど、前回はテートのもの、今回はリバプール国立美術館(リバプールおよびその近郊の3つの美術館から構成される)の作品で構成されている。
Ⅰ.ヴィクトリア朝のロマン主義者たち
まずはジョン・エヴァレット・ミレイから。ラファエル前派の中ではミレイが一番好き。
はじめの作品「いにしえの夢」はなんとなく不思議というか変な感じを受ける。馬を大きく描きすぎて不評だったため小さく描きなおした跡があるという理由だけではない気が。女の子も男の子も妙に無表情だし、男の子が背負っている薪はいったいなんだろう?とまあいろいろと想像力をかき立てる絵ではある。
変なのは「春(林檎の花咲く頃)」も変だ。パッと見、背景の林檎の花は美しく、またミレイの妻の妹たちがモデルという女性たちも美しいのだけど、一番右端の女性が横たわり、その隣に鎌が描かれているのである。悪魔が持つ鎌のようでとても不気味・・・
「ブラック・ブランズウィッカーズの兵士」は映画の一場面のようにドラマティック。
「良い決心」は若い女性が何か書物(帳簿のようなもの?)を見ながら何かを決心する様子を描いているのだが、何を決心したのかが謎。
とまあ、見る者の解釈にゆだねている作品が多いといえる。
ロセッティは2作品。
やはりあの顔の女性で、どんだけこの顔が好きだったんだか(笑)
中性的なんですよね。
サンズの「トロイアのヘレネ」。これがあの美しいと言われたヘレネ?なんか悪意を感じる・・・
マクリース「祈りの後のマデライン」。部屋の戸棚の中に恋人が隠れているとのことなのだけど、え?どこに???
Ⅱ.古代世界を描いた画家たち
アルマ=タデマの作品が5点。
ローマやギリシャなどの古代をテーマとした絵を描く画家だが、描かれる女性はみな艶めかしく、退廃的な匂いがするのである。
艶めかしいといえば、レイトンの「ペルセウスとアンドロメダ」のアンドロメダも。勇敢なペルセウスよりアンドロメダの方に目がいってしまう。大きな作品。
なんとなく気にいったのがペルジーニ「ドルチェ・ファール・ニエンテ(甘美なる無為)」。手すりをはうかたつむりをじっと見ている女性2人を描いているのだが、まさに無為。不思議な雰囲気の作品である。
ポインターの「テラスにて」は少女が団扇について虫を羽でとろうとしているところを描いていて、印象が似ているかな。背景が美しい。
この章で一番気にいったのは、ムーアの「夏の夜」。連続写真のように様々なポーズをする4人の女性が描かれる。唯美主義。
Ⅲ.戸外の情景
大好きなウィリアム・ヘンリー・ハントが1点きていた。
鳥の巣ハントを呼ばれた鳥の巣や卵を描いた画家。卵がかわいいのだ。
ウィリアム・ホルマン・ハントはロセッティ、ミレイとともにラファエル前派を結成した人物。今回きていた「イタリア人の子ども」はハントらしく非常に写実的。
気にいった作品はウォーカー「魚屋の店」。じつにいろいろな魚が描きこまれているではありませんか。市場好きとしては外せない作品。
ヘイの「流れ星」もいいですね。オリオン座もさりげなく描かれている。
Ⅳ.19世紀後半の象徴主義者たち
バーン=ジョーンズも好き。
「レバノンの花嫁」いいな~
この大きな作品が水彩だなんて!
花嫁の後ろに描かれた擬人化された北風と南風の表現がいかにもバーン=ジョーンズらしい。
「フラジオレットを吹く天使」も水彩だが、テンペラ画風。優しいタッチ。
「眠れる騎士たちの習作」は血の気のない騎士たちがちょっと怖い。眠っているだけなんだろうか・・・
ウォーターハウスは色彩が美しい。
「デカメロン」、とってもカラフル。
「エコーとナルキッソス」は美しいのだけど、話の不毛さを思うとむなしいような。
スタナップの「楽園追放」は、ご存じアダムとイヴが楽園を追放される場面をドラマチックに描いているが、背景の花々の美しさも見どころかと。
そういえばダウの「エヴァ」は蛇が見当たらないようだけれど、どこかに描いてあるんだろうか・・・
ラファエル前派、ちょっとこってりしていますが、美しい作品が多いので是非どうぞ。
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