【勝川春章と肉筆美人画展】
art-12 【勝川春章と肉筆美人画展】 出光美術館
先日、太田記念美術館で開催されている勝川春章展に行ってきたところだが、今回は出光ではじまった展覧会へ。
こちらの展覧会では、肉筆美人画に特化し、春章のみならず春章が影響を受けた絵師、影響を与えた絵師の美人画も展示されていた。
Ⅰ.春章の達成-「美人鑑賞図」にみる創意
1枚目は晩年の作、「美人鑑賞図」。
鳥文斎栄之の錦絵に着想を得て描かれているとのことで、比較してみてみると(栄之の作品そのものの展示はなし)・・・
確かに!猫や人物など描き足しているものがあるが構図は同じ。春章の方が庭は立派か(六義園?)。色鮮やかな作品。
若干、遠近法が不自然な気もするが、この章にあった他の絵師の作品ではもっと不自然だったから、この頃はこんなもんだったのだろう。
Ⅱ.春章へと続く道-肉筆浮世絵の系譜、〈大和絵師〉の自負
菱川師宣~宮川長春までの肉筆美人画。
こうして並んでいると、それぞれの特徴がよくわかるのだが、好みとしては師宣の方。顔立ちとか姿が師宣の方が優美な感じで。
長春は量産するためか、定型的な型が多かったようで、「読書美人図」と「蚊帳美人図」は同じ姿勢の美人だった。
Ⅲ.美人画家・春章の出発-安永・天明期、上方へのまなざし
太田で見た際、初期の頃の美人画は鈴木春信風だと思ったが、今回、上方の絵師たちの美人画とともに並んでいるのを見たら、そういった影響もあるような・・・
というか、はじめはいろいろなんですね、当然ながら。ちょっと太めすぎる(笑)美人もいたり。それが次第に作風が固まってくる。
気にいったのは、「柳下納涼美人図」(立ち姿が素敵)、「雪中傘持美人図」(傘に積もった雪の表現がすばらしい)。そして「桜下三美人図」。美人の着物の柄も細かいけれど、背景の桜、柳、そして下草が細かいのなんの。
Ⅳ.春章の季節-同時代の浮世絵師たちとの交感
同時代の絵師たちの同じようなテーマの作品と並べての展示。
とにかく、春章の筆が細やかなこと!髪の一本一本も細いし、着物の柄がまた。いやー美しい。
異色の作品としては「遊女と達磨図」。達磨は9年間の座禅で悟りを開き、遊女は10年奉公すると自由な身になれる・・・ことから一緒に描かれているが、フツーは一緒に描いたりしないわけで・・・色っぽい絵である。
同時代ということで酒井抱一の美人画もあった。琳派にいく前はこうした作品を描いていたのか・・・
Ⅴ.俗のなかの〈みやび〉-寛政期、円熟と深化へ
春章、円熟期の作品群。
ますます作品は優美に。もっと近くに寄って(ガラスがあるから無理だけど)、細部にわたるまで見たいなあ。
気にいった作品は「遊女と燕図」、「雪月花図」。
「見立江口の君図」もおもしろいが、全部並べてみたかったのは「婦人風俗十二か月」。風俗画が好きだというのもあるのだが。
Ⅵ.〈浮世絵の黄金期〉へ-春章がこのしたもの
春章後の絵師たちの作品。
鳥文斎栄之の美人画は8頭身以上?すらりとした美人たち。
歌麿は、めずらしく首絵ではなく全身像だったが、顔はやはり特徴的。
弟子の北斎のも1枚。春章以外の影響もみてとれる絵だった。
出光、いろいろといい作品を持ってますね。
太田記念美術館の後期展示も行かねば!
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