【カラヴァッジョ展】
art-23 【カラヴァッジョ展】 国立西洋美術館
ゴールデンウィーク初日の昨日、カラヴァッジョ展に行って参りました。
若くして亡くなったカラヴァッジョは作品数が60あまりと少ない中、今回は11点もきている・・・とあっては行かざるを得ませんね。
混んでるかなあと思いきや、わりとすんなり入ることができました。
テーマ別に作品が並んでおり、まず最初にカラヴァッジョ、続いてカラヴァジェスキ(カラヴァッジョの影響を受けた継承者たち)の絵が並ぶという構成。
Ⅰ 風俗画:占い、酒場、音楽
「女占い師」からスタート。
この絵、何度も見たことあるよな~と思ったら、よく見ているのはルーヴルにある同じテーマの絵なのだった(ルーヴルの方がサイズが小さい)。何にも知らないお坊ちゃんが騙されるというテーマはその後もいろいろな画家が描いてますね。
今回は、シモン・ヴーエの「女占い師」が並んでいたが、こっちの方がいやらしい感じ。若い女に手相を見てもらっている男は身なりも悪く、歯も汚かったりするのだが、なんといっても表情がいやらしい。後ろから財布に手を伸ばす老婆は本当に悪そうで(笑)、こっちの方が1枚上手。
リベーラの「聖ペテロの否認」は有名なテーマの絵であるが、なぜか横でサイコロ賭博?をしているのがおかしい。
Ⅱ 風俗画:五感
「トカゲに噛まれる少年」
噛まれた少年の痛いっ、という瞬間をリアルにとらえた絵。
それだけでなく、描かれた静物もリアルなところも見どころで、花瓶には窓が映り込んでいるという細かさなのである。
次にパオリーニに帰属「カニに指を挟まれる少年」が並んでいたが、これはわざとらしすぎるでしょう(笑)。やらせ感が。
「ナルキッソス」
自分に恋い焦がれるナルキッソスの哀れな姿。自分の姿に見入るナルキッソス、水に吸い込まれそう・・・
ブリュッヘンはオランダのカラヴァジェスキだそうだが、「合奏」といっても、もはや合奏を描いたものとは思えません。
Ⅲ 静物
「果物籠を持つ少年」
これは静物画の範疇なのか・・・確かに、籠いっぱいに盛られた果物のみずみずしくおいしそうなこと!少年が妙に女性っぽいのが気になるが・・・
モデルは画家本人とのことだが、後年描かれた肖像画とはだいぶ違う。というか今回きていた肖像画が荒れた生活を反映してか?実に悪そうなのであった。
「バッカス」
フィレンツェで見てきた絵。
これまたバッカスが妙に女性的で、なんかなまめかしい。不思議なバッカス。
ハートフォードの静物の画家による「戸外に置かれた果物と野菜」はツボだった。たくさんの種類の野菜、果物がなぜ?という置かれかたで置かれている。なんだかおかしい。
Ⅳ 肖像
「マッフェオ・バルベリーニの肖像」は今回来ている中でもっともカラヴァッジョっぽくない絵だった。あまり特徴がない。
この35年にベルニーニが描いたのが「教皇ウルバヌス8世の肖像」。後に教皇になったわけですね。ベルニーニのパトロン。
Ⅴ 光
「エマオの晩餐」
これは大変カラヴァッジョらしい。光と影の画家といえばレンブラントだが、カラヴァッジョもまた光と影を描いた画家である。
ただ、この絵は、殺人事件で死刑宣告を受け、逃亡中に描かれている、という心理状態を反映したものなのか、影の割合が大きい。
蝋燭の光の画家(ジャコモ・マッサ?)は蝋燭の光ばかり描いた画家のようで、これはジョルジュ・ラ・トゥールに似ているなあと思ったら、続いて展示されているのがラ・トゥール。
カラヴァッジョとラ・トゥール、つながってますね。
Ⅵ 斬首
すごいテーマ設定(笑)。
今回最もインパクトがあったのがこれ、「メドゥーサ」。
首から血が・・・こちらが石になりそう・・・怖い。
ミネルバが持つ楯風の円形の板に描かれている。
ゴリアテとダヴィデ、ユディットというお馴染みにテーマが並ぶ中で、スタンツィオーネ「アレクサンドリアの聖カタリナの頭部」はあまり見ないのでは。あまり首を切り落とされた場面というのはない気がする。車輪を描いてくれないとわからないなあ。
Ⅶ 聖母と聖人の新たな図像
「洗礼者聖ヨハネ」
毛皮をまとっていないので一瞬ヨハネとはわからず。十字架の杖は持っているようだが。どうもカラヴァッジョは中性的な男性を描くような気がしてならない。
そして、今回の目玉、「法悦のマグダラのマリア」。2014年発見され、カラヴァッジョの真筆とされ、今回が世界初公開とか。
これまた影の部分が多い絵であるが、十字架が浮かび上がり、なんとも不思議な雰囲気となっている。失神している場面なのかと思うが、肌が青白く、唇にも色がないので、死んでいるように見える。
ミニ・セクション:エッケ・ホモ
カラヴァッジョとチゴリがそれぞれ描いた「エッケ・ホモ」。
チゴリの方がドラマチックのような気がした。
これだけのカラヴァッジョが見られる機会はあまりないかもしれませんね。是非どうぞ。
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