【国芳イズム-歌川国芳とその系脈展】
art-19 【国芳イズム-歌川国芳とその系脈展】 練馬区立美術館
今、国芳関連の美術展を2ヶ所でやっているが、その1つの、国芳イズム展に行って参りました。
この展覧会は、洋画家で国芳コレクターである悳俊彦さんのすばらしいコレクションを公開するもの。初公開作品もあり、数点しか現存しない作品ありで貴重な展覧会。
まずは国芳から。
猛者たちの梁山泊
弟子の落合芳幾が描いた国芳像からスタート。
国芳、自分の絵に自分の姿を描いているのだが、だいたい後ろ姿なので、こんな人だったか・・・
「流行逢都絵稀代稀物」の真ん中に描かれている絵師は自画像と言われるが、これまたちょうど舞い上がる紙で顔が隠れていて、うーん、よっぽど自分の顔は描きたくなかったんですねぇ(笑)
続いて武者絵、役者絵が続く。
坂田怪童丸など何回か見たことのある作品もあったが、「鬼童丸」ははじめてかも?のちの弁慶である。
何度見ても好きなのは「正札附現金男」シリーズ。ファッションが奇抜すぎるが中でもどくろの衣装が楽しい。どくろが猫でできるのである。さすが猫好き!
モブシーン ざわめきの群衆表現
はじめてみた「子供遊」シリーズがよかった。
様々な職業を遊びに見立ててるのだけど、表情が一人一人ちがっていて見ていてあきない。棟上げを描いた作品は建築にも目がいく。
洒落と才智と戯れと
国芳といったら洒落絵、戯画!楽しいコーナー。
写し絵、寄せ絵・・・人が集まって顔が形成される絵は、日本のアンチンボルト。
上からと下からとみる方向を変えると違って見える絵も楽しい。
五十三次ならぬ、五十三面もくくっと笑ってしまう。
国芳のアイディア、天才的だなあ。
物狂いの動物画
そして、国芳といったらもう一つ欠かせないのが猫。
「鼠よけの猫」は2点しか確認されていないというもの。これを貼っておけば鼠よけになる??と言われていたらしい。といってもそんなに怖くない猫。
「流行」シリーズも今まであまり見たことなかったかも・・・
江戸の賑わいと人気者
国芳は名所画や美人画なども描いている。
名所画、意外に斬新。遠近法も一部取り入れていたようだ。
「両国夕涼之図」は、よくあるテーマだが、青が基調となっていて涼しげ。
「国芳芝居草稿」もいいな~北斎漫画的で見飽きない。
続いて弟子たちの絵。
正直、知らない人が多く、名前も全部は覚えられない(笑)
やはり有名なのは河鍋暁斎と月岡芳年でしょう。
今回見た中では暁斎だと象の絵がヒット。なんかかわいらしい。
最後は直接の弟子ではないがその影響を受けた絵師たちの展示。
小林永濯
ちょっと怖い「猫図」は毛並みが細かく描かれている。
「食いしん坊の図」はとってもユーモラス。
「鍾馗図」はどっかで見たことあるな~と思ったら、そうか!この絵じゃないけれど去年みた『ダブル・インパクト展』のポスターになった絵がこの人のだった。ちょっと漫画チックな。
山本昇雲
明治時代に「いま姿」シリーズがヒットしたらしいが(女子受けしそう)、「雪月花」のような作品の作品の方が個人的には好み。
尾形月耕
3人の中で一番気にいったのがこの人。
さらさらっと描いているというか線が非常に繊細で、色も淡め。「墨田河百花園七草」、いいなあ。
楠正行の戦いを描いた絵は、無数に飛んでくる矢に向かって行く姿が壮絶だし、鍾馗を描いた作品は意外と迫力があったりして、結構骨太な絵も描く人のようだ。
この名前、覚えておこう。
悳俊彦さんの武蔵野の自然を描いた作品もなかなかいいですね。
是非どうぞ。
« ドメーヌ・ガイダ フライング・ソロ グルナッシュ・シラー | トップページ | カミラ・レックバリ『霊の棲む島』 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 【特別展はにわ】(2024.11.25)
- 神代植物公園3(2024.11.19)
- 【カナレットとヴェネツィアの輝き展】(2024.11.04)
- 【英一蝶展】(2024.10.14)
- 【田中一村展】(2024.09.23)
« ドメーヌ・ガイダ フライング・ソロ グルナッシュ・シラー | トップページ | カミラ・レックバリ『霊の棲む島』 »
コメント