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2016/10/29

【朝井閑右衛門展】

art-56 【朝井閑右衛門展】 練馬区立美術館

1610291
練馬区立美術館で開催されている朝井閑右衛門の回顧展に行って参りました。
この画家、全然知らなかったのだけど、前に日曜美術館のアートシーンでやっていて行ってみたくなった展覧会。
戦後、横須賀にアトリエを構えたこともあって、横須賀美術館がたくさん作品を所蔵しているが、若い頃は練馬で描いていたとのことで、練馬区立美術館で開催されることになったらしい。

第1章 群像《丘の上》まで
まったく画風も知らない画家だったので、どんなだろうかと入っていくと・・・
まずは風景画。
「東京十二景の内」のシリーズなど、ごくごく普通の洋画である。
が、次に飾られた「丘の上」にまず圧倒される。なんと500号とのことで、大きいこと!描かれているのは一角獣や道化風の衣装の演奏家たち、踊る女性。不思議な絵だが、壁に飾られたらなかなかいいのでは?と思ったら、戦前の新橋第一ホテルに飾られた絵だったとのこと。
この後に続く絵は、ピカソ風。

第2章 閑右衛門の戦中・戦後
戦中は中国を度々訪れ、上海で終戦を迎えている。
蘇州を描いた絵もよいが、「豊収(誉れノ家族)」が印象的。母と子を描いているのだが、聖母子をイメージしたものという。
戦後になると、ぼってりと厚塗りの絵へと変化。
気に行ったモチーフを繰り返し描いたというが、電線のシリーズ、これが一番気に行った作品群。うねった電線はゴッホのような、絵の具の塗り方はルオーのような。強烈である。言われないと電線とわからない絵も・・・

第3章 ディレッタント・閑右衛門の小妖たち
ドン・キホーテもお気に入りのモチーフだったとのこと。
スペインというよりは、メキシコ風の背景と雰囲気だったりするが、とてもユーモラス。
かと思えば、水墨画もたくさん描いていて、寒山拾得や七福神など、味のある作品。この振れ幅、すごいなあ。

第4章 文士、詩人たちの肖像
閑右衛門は相撲ファンで、東京場所はかかさず見に行っていた時期があったという。ということで相撲の絵があったが、これまたユーモアたっぷり。
交流のあった文士たちの肖像画もまた、ユーモアあるふれる筆致なのだけど、中でも特に親しかった草野心平との合作は、楽しんで描いている様子が見てとれる。

第5章 閑右衛門の余韻 アトリエの風景
最後に、アトリエが再現されていた。
好きなものに囲まれ、制作に没頭した閑右衛門のお気に入りの品々が飾られていたが、「カエッテクレ」を書かれた板が!集中したい時は家の玄関に下げておいて人を入れなかったという。
他のエピソードも含め、とても変わった人だったようだ。
お気に入りのガラス台鉢を描いた作品も迫力があるが、さらにド迫力なのは、薔薇や牡丹を描いた作品。強烈な色彩と、厚塗りで見る者を圧倒する。

なかなかに独特な画家だが、おもしろかった。
是非どうぞ。

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