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2016/10/09

【藤田嗣治展】

art-53 【藤田嗣治展】 府中市美術館

1610091
府中市美術館で開催中の藤田嗣治展に行って参りました。

本日、開館記念無料観覧日。
ということ混んでおり、まず駐車場にとめるまで40分、美術館に入ってからも入場制限していて入場するのに40分・・・
いつも比較的すいている府中市美術館がこんなに混んでいたのははじめてかも。

藤田嗣治(レオナール・フジタ)展には今まで何度も行っているが、一番最近行ったのは、Bunkamuraザ・ミュージアムでの展覧会。ポーラ美術館のコレクションを中心としたもので、小さな職人たちのシリーズがたくさん見られたのが収穫だった。

さて、今回の展覧会はどうか。

1.模索の時代
学生時代の絵からスタート。
卒業制作として描かれた「自画像」は、顔はもちろん藤田なのだけど、なにせおかっぱとひげではないので、なんか変な感じ。この時代は至ってフツーの絵。
パリに渡ってすぐの絵画は、キュビズムの影響が見られたり、人物画まるでモディリアーニだったり、いろいろな影響が垣間見られる。
風景画のイメージはあまりないが、パリやカーニュ=シュル=メールなどを描いた絵が数点あり、どれも色がなく暗い。が、描き方は友人だったスーチンの影響が大きいだろうか。

2.パリ画壇の寵児
やがて、藤田は乳白色の絵を描くように。
乳白色というと裸婦のイメージだが、「バラ」のような静物画もまた乳白色。
でもやはり、裸婦でしょうね。
サロン出品作の中で最高額の値がついたというのが裸婦群像図の「五人の裸婦」。それぞれ、触覚、聴覚、味覚、嗅覚、視覚を表すという。単なる裸婦像ではない。ちゃんと猫もいるけれど。
藤田といえば、もう一つ、猫。
裸婦像でも猫が一緒に描かれているとなごみますねぇ。
2枚の自画像にもしっかりいつもの猫が描かれている。描かれた位置は違うのだけど、猫の構図は同じ。牙がちらっと出てるのも同じ。この自画像のマグネットを購入した。
小さな作品だが、「インク壺の静物」や「裁縫道具のある静物」などの静物画もいいなあ。

3.さまよう画家
1930年代、4番目の妻となるマドレーヌとともに、中南米を旅することになる藤田。
それまでが嘘のようなカラフルで大胆な筆致の絵が描かれる。
リオ、ボリビア、メキシコ・・・いやはや、この時代の絵はアツイ!
日本帰国後の絵もちょっとデフォルメしすぎなほどに人物が描かれていたり(あまり好評だったとは言いがたかったらしいが)、とにかく絵が濃いのである。
メキシコで出会った画家北川民次の肖像画は、1枚は正統派だけれど、1枚はユーモラス。
アトリエを描いた2枚は、1枚はマドレーヌと結婚していた時のもの、1枚はマドレーヌの死後、5番目の妻君代と結婚後のもので、がらりと様子が変わっているのは興味深い。
この時代の絵で、気に行ったのは、銀座コロンバンの壁画。メキシコの壁画運動に感化され、多くの壁画を描いたという。

4.戦争と国家
パリで時代の寵児となったのち、日本に帰国した藤田は画壇に受け入れられず、ようやく賞賛をあびることになったのは戦争画を描いた時。
「アッツ島玉砕」他2枚は圧倒的な迫力であるが、辛い絵でもある。
「猫」という作品は、たくさんの猫がけんかをする絵なのだが、戦時中に描かれた絵であり、誰が敵か味方がわからない情勢を描いたもの、かもしれないという。楽しいだけの絵ではないのかもしれない。
ようやく日本に認められた藤田だが、皮肉にも戦争協力者のレッテルを貼られ日本を離れることになってしまう。
これらの戦争画、決して戦争を賛美している絵とは思えないのだけど・・・

5.フランスとの再会
戦後、フランスに渡り日本国籍を抹消した藤田。
再び、乳白色の絵が復活である。「猫を抱く少女」はまたあの猫も!
そして、子どもが描かれるようになる。
「小さな主婦」は以前見た小さな職人たちに通じるものがあると思う。

6.平和への祈り
カトリックの洗礼を受け、藤田はレオナール・フジタに改名する。
晩年は宗教画を描くようになり、最晩年、ランスに礼拝堂を建設。建物、彫刻、ステンドグラス(今回きていた)、フレスコ画も手がけたという。
「二人の祈り」は聖母の前にフジタ夫妻が跪いて祈るという絵だが、たくさんの子ども(フジタの子どもはちょっと不気味だったりするが)と、魑魅魍魎・・・謎の怪物たちが描かれていて、不思議な絵。
「聖母子」は、聖母の歪みがちょっと気になるものの、フジタの心穏やかな心境が描かれた絵だと言えよう。

若い頃から晩年まで、バラエティに富んだ作品が見られます。
是非どうぞ。

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