【動き出す!絵画 ペール北山の夢展】
art-58 【動き出す!絵画 ペール北山の夢展】 東京ステーションギャラリー
永青文庫に行き、昼食後移動、東京ステーションギャラリーへ。
見てきたのは【動き出す!絵画 ペール北山の夢展】。
ペール北山って誰?って思ったのだけど、本名は北山清太郎。
100年以上前、近代美術の発展に寄与した人物。美術雑誌を刊行したり、西洋美術の紹介、若い画家の支援も行った人で、感謝した画家たちがゴッホを支援した画材商ペール・タンギー(タンギー親父)になぞらえてペール北山と呼ぶようになったという。
第1章 動き出す夢 ~ペール北山と欧州洋画熱
北山が創刊したのが「現代の洋画」。そこで紹介されたり、自らプロデュースした展覧会でも紹介した画家の絵を中心に。
セザンヌ。奥さんを描いた絵はセザンヌだなと思ったが、「宴の準備」はあまりらしくない。キュビズムのはしりと言えないくもないけれど。
ゴッホの「雪原で薪を集める人びと」はいいですね。力強い。オランダ時代の絵。
ピサロ、シスレーとのどかな風景画が続いたあとは、モネ。「橋から見たアルジャントゥイユの泊地」は未完成?余白の美?
ドガの「踊り子たち、ピンクと緑」は、緑が鮮やか。緑というイメージは今までなかったのだが。
アマン=ジャンの「髪」は、大原コレクション第1号の作品だが、ワタクシはちょっとこの人、苦手。
シニャック「ヴェニス、サルーテ教会」は色が強烈。
キュビズムといえば、のピカソもあったが、その後のキュビズムとしてメッツァンジェの「自転車乗り」がおもしろい。これもキュビズムなんだなと。
第2章 動き出す時代 ~新帰朝者たちの活躍と大正の萌芽
オーソドックスな藤島武二から。
おっと思ったのは斎藤与里。まるでシャヴァンヌじゃないですか。
中村彝の初期の作品は、大胆な筆致。
気に行ったのは、山脇信徳。印象派・・・初期のモネのよう。
斎藤豊作「秋の色」は点描のよう。色が鮮やか。
第3章 動き出す絵画 ~ペール北山とフュウザン会、生活社
フュウザン会は岸田劉生、萬鉄五郎、斎藤与里らで結成されたグループ。展覧会は2回で終了し、その後、岸田、高村光太郎、木村荘八らで結成されたのが生活社。いずれも北山は深く関わっている。
斎藤与里の「木陰」はやはりシャヴァンヌ!
岸田劉生の初期の作品は、ポスト印象派の影響か、ワイルド。その後、写実的な作風へと変化していくわけだが。
木村荘八の初期作品は、セザンヌの影響があるだろうか。
第3章で一番印象に残ったのは萬鉄五郎。とにかく強烈!
ゴッホの「タンギー爺さん」と同じ構図の「女の顔」、色が強烈な「風船を持つ女」。一番シュールなのは「雲のある自画像」。これは雲?顔色も悪く、生きてるの?と思うくらい。雲が昇天する人の輪っかに見えてしまうのだが。
「もたれて立つ人習作」もあった。
中村彝の晩年の作品「カルピスの包み紙のある静物」はキュビズムを取り入れつつも繊細な絵。翌年結核で亡くなることになる画家は、滋養強壮のためカルピスを飲んでいたという。
第4章 動き出した先に ~巽画会から草土社へ
ペール北山が幹事となった巽画会、その後結成された草土社の関連の絵画。
この章の岸田劉生は見慣れた劉生の絵。
写実的な人物画像である。うれしや、麗子の絵もあった。
ワタクシの好きな「林檎三個」もきていた。青っぽい林檎が三個並んでいるという絵。
「代々木附近」や「初夏の小路」は「道路と土手と塀(切通之写生)」に通じる絵。
この流れにあるのが河野通勢だろうか。土埃が舞うのが見えるよう。
中川一政の風景画の方が明るい。
エピローグ 動き出す絵 ~北山清太郎と日本アニメーションの誕生
元祖アニメクリエーターでもあった北山。
ユーモラスなアニメーションを3本見たが、北山作の「浦島太郎」は話をはしょりすぎ(笑)。
豪華な布陣でした。
残念ながら明日で終了ですが、是非どうぞ。
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