【ガラス絵 幻惑の200年史展】
art-5 【ガラス絵 幻惑の200年史展】 府中市美術館
府中市美術館で開催されているガラス絵の展覧会に行って参りました。
チラシの紙が、光沢があってキレイ(ちょっとガラス絵風)。チケットもキレイ。
第1章 海を渡るガラス絵 - 技法の伝播と日本ガラス絵の爛熟
ガラス絵は、ガラスの裏側から描くので、通常の絵とは色の重ねる順番が逆になる・・・って難しいなあ。なんと、画家のサインを最初に描くのである!
そして、ガラス絵は中世ヨーロッパではじまり、インド、インドネシアに伝わり、他方、中国では独自のガラス絵が発展、日本には江戸中期に中国から長崎経由で伝わった。
17世紀初頭のドイツのガラス絵「寓意画」はスザンナの長老たちを描いたものだが、色を塗った後に削って描く手法で、一見してガラス絵とはわからない。
ガラス絵は修正ができない(上から描き直すことができない)ためか、思わぬ効果がある一方、失敗もあるのか、微妙な作品もあったり・・・
ナイーブアート系の作品もちらほら。
かと思えば、精巧に描かれているものもあり(中国の作品「錦鶏鳥の雌雄と群鳥」など、味わいはいろいろである。
日本で当初描かれるようになったガラス絵は洋風だが、浮世絵風の作品も出現する。「猫と火鉢に寄る女」など、遠くからみると浮世絵に見える。
第2章 小出樽重と長谷川利行 - 「新鮮の骨董」の発見
その後いったん衰退しかけたガラス絵だったが、昭和に入ってガラス絵に積極的に取り組んだ画家が現れる。それが小出楢重と長谷川利行。
それぞれの特徴が出たガラス絵である。
楢重といえば裸婦像であるが、ガラス絵においてもやっぱり裸婦。油絵における裸婦像の特徴そのままにガラス絵を描いているのだけど、驚いたのは作品がとっても小さいこと。「裸女6番」など、マッチ箱サイズで額の方が大きい。が、小さい中にもデフォルメされた裸婦像は健在である。
長谷川利行のガラス絵は、思いついたままささっと描いたといった感じで、やはり、らしいといえるが、好みから言うと圧倒的に小出楢重の方だった。
第3章 ガラスをめぐる冒険 - 戦後ガラス絵の多様な表現
版画家川上澄生の作品は、ガラス絵であっても木版画風。
芹沢銈介は、静岡の美術館や近代美術館工芸館の展覧会でも見てはいるが、あらためていいなあと思う。特に好きなのは「スペインの椅子」と「洋書」。色がとても美しく出ているので。
藤田嗣治もガラス絵の作品を残している。夫人との思い出を描いたという「思い出」はあまりフジタらしさがわからないのだが、「動物宴」はらしい作品。猫だし。
桂ゆきは府中市美術館の常設展示でよく展示されているが、その作品に似たガラス絵が「えい」。コラージュ作品が多い。「ブドウとキツネ」の色が好き。
現代のガラス絵というと、単純な作品から発展し、いろいろな技法が用いられるようになっているし、抽象的な作品も多いのだが、ワタクシが好きなのは、水彩で描いたガラス絵の清宮質文の作品。透明感のある美しい作品だった。
ガラス絵だけを集めためずらしい展覧会です。
是非どうぞ。
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