art-16 【これぞ暁斎!展】 Bunkamuraザ・ミュージアム
ゴールドマンコレクションこれぞ暁斎!世界が認めたその画力展に行って参りました。
暁斎展、数年前に三菱一号館でやった際にも行っているのだが、今回は世界屈指の暁斎コレクターとして知られるイギリスのゴールドマン氏のコレクションを公開するもの。
めったに見られない作品の数々である。
序章:出会いーゴールドマン コレクションの始まり
「象とたぬき」からスタート。
この作品、いったんゴールドマン氏が手に入れたものの手放してしまい、しかし忘れられずに数年後買い戻したという作品。ちっちゃなたぬきを象が鼻でツンツンしている絵でとてもかわいらしい。
そして、蛙、猫、猿、犬などなどの戯画。メダカの学校ならぬ蛙の学校や、鯰を曳くネコの絵など。
暁斎は師匠国芳の影響か、猫好きで自分でもたくさん飼っていたらしい。ちょい目つきの悪いネコもいたけれど、ほのぼのする絵が多い。
第1章:万国飛ー世界を飛び回った鴉たち
三菱一号館の時にはも1枚くらい見たと思うのだが(榮太楼の社長が購入したとか)、今回は実に14枚もの鴉の絵が!ゴールドマンさん、鴉の絵が好きなんですねぇ。
枯木との組み合わせが多かったけれど、ささっと墨だけで描いた鴉もいいし、白い鷺との対照もいい。「雨中鴉」は雨の表現がなかなかに斬新。
「日輪に鴉」は日の出と鴉の組み合わせ4枚。月との組み合わせもあった。
第2章:躍動するいのちー動物たちの世界
ゴールドマン氏は動物画がお好きだったようで・・・
象は実際に暁斎が見にいってスケッチしていたようで、リアリティがあるのだけど、さすがに虎は見たことがなかったか、猫のような虎。
やはりテーマとしてよく描いていた蛙や猫の絵がいいなあ。
あと、気にいったのが「枇杷猿、瀧白猿」。毛並みなど、非常に細かい。
とってもユーモラスなのが「月に手を伸ばす足長手長、手長猿と手長海老」。足の長い人の上に手が長い人が乗り(ありえない!)、その上に手長猿が手長海老を掴んで、必死に海老が月をとろうとしている図。もうちょっとで届きそうだ。
イソップの物語を描いた作品も2点。
「暁斎漫画」の展示もあったが、まるで北斎漫画である。
第3章:幕末明治ー転換期のざわめきとにぎわい
明治に入ると、暁斎の絵にも西洋的なものが描かれていたり(船、電柱)、洋画風の絵も出現。
「各国人物図」では、アフリカ人、弁髪の中国人、西洋人など各国の人物を描かれていて、暁斎の物珍し好きがうかがえる。
「鍾馗と鬼の学校」や、「化々学校」などは、擬人化されていて、なんともいえずおかしい。
第4章:戯れるー福と笑いをもたらす守り神
鍾馗を暁斎はたくさん描いているが(魔除けとして注文がたくさんあったのでしょう)、フツーの鍾馗の絵とは違い、崖から鬼をつるしてみたり、鬼を蹴り上げてみたり・・・鬼と遊んでいるような鍾馗。怖さや威厳はなし(笑)。ユーモアたっぷりである。
「貧乏神」にも笑ってしまった。あまりにみすぼらしい・・・
笑うー人間と性(春画展示)
春画のコーナーもあったが、あくまでユーモラス。
第5章:百鬼繚乱ー異界への誘い
「幽霊図」は、まじめに(?)怖い幽霊だったが、あくまでもおかしみのあるおばけや幽霊たち。「幽霊に腰を抜かす男」は全然怖くない!
「百鬼夜行図屏風」は、屏風いっぱいに妖怪たちがこれでもかというくらい描かれているが、どれも笑っちゃうような妖怪たちである。
「地獄太夫と一休」が2枚。昔、暁斎をあまり知らなかった頃は、暁斎といえば地獄太夫のイメージだった。太夫が羽織る打掛に地獄が描かれているが、まわりでは一休さんも骸骨も踊っていたりして、案外ファンキーな絵である。
第6章:祈るー仏と神仙、先人への尊崇
暁斎は観音や達磨も多く描いていたらしい。
観音様の絵は、しごくまじめ。
山水図も伝統的な絵。
達磨は白穏の達磨につながるものがある。さっと描いていて、筆に迷いがない。
大胆な筆致。
これまたお馴染みのテーマ、寒山拾得はほのぼの系の絵であった。
こう見てくると、暁斎も実に幅の広い絵師ですね。北斎みたい!
暁斎も今後おっかけていきたいなあ。
是非どうぞ。
最近のコメント