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2017/04/04

【オルセーのナビ派展】

art-19 【オルセーのナビ派展】 三菱一号館美術館

1704041
上野から東京駅に移動、次に向かったのは三菱一号館美術館。
ナビ派の展覧会である。
ナビ派の中でもドニは大好きな画家なので、逃すわけにはいきませんね。

1 ゴーガンの革命
セリュジェがゴーガンの教えを受けたことから誕生したナビ派。
ということでゴーガンの2枚から。
特に「《黄色いキリスト》のある自画像」を見て、セリュジェの「タリスマン(護符)、愛の森を流れるアヴェン川」を見るとその影響がよくわかる。
セリュジェのこの作品は、ほぼ抽象画のようで、ゴーガンの教えのとおり、見えたように色を塗った絵になっている。
同じくセリュジェの「にわか雨」は浮世絵風である。
一方、ゴーガンの「扇のある静物」とエミール・ベルナールの「炻器瓶とりんご」は親和性がある。

2 庭の女性たち
ドニやボナールは庭の女性というテーマの絵を多く描いている。
ドニの色遣いが大好きなのだが、中でも「鳩のいる屏風」は素敵。「若い娘の寝室装飾のためのパネル」のシリーズも結婚祝いとしてはうれしいだろうなあという作品。今回は9月と10月だったが、他の季節のも見てみたい。
ボナールの「庭の女性たち」の4枚組はポスター的というか装飾的。幸せな空気に満ちた作品。
彫刻家としてしか知らなかったマイヨールの絵もあった。

3 親密さの詩情
アンティミストであるボナール、ヴァロットン、ヴュイヤール。
ボナールの「ベッドでまどろむ女」は「庭の女性たち」とはまったく違う方向性。けだるいというかちょっと退廃的な匂いするする作品である。
近年注目を浴びているヴァロットンも揃っていた。
ヴァロットンの場合、親密といっても、何か一線を画すような、よそよそしさがあるのが特徴で、決して大好きなわけではないのに、ついつい見てしまうタイプの絵なのである。
版画集、アンティミテは白黒であるが故に、よりいっそう感情がないような・・・ちょっと怖い。いや、おもしろいのだけど、胸がざわざわするというか。
ヴュイヤールの「エッセル家旧蔵の昼食」もまた緊張感を強いられる作品。夫婦に会話がなさそうな・・・

4 心のうちの言葉
肖像画、自画像の数々。
なんといっても、ヴュイヤールの「八角形の自画像」がファンキー!髪は黄色、髭はオレンジ。インパクトがスゴイぞ。
ボナールの「格子柄のブラウス」は猫がいいんですね。のぺっとした平面的な絵だし、画面いっぱいに描かれているところなど、日本的と言えようか。
ドニは、いろいろな作品の女性が、妻マルトにそっくりなのだけど、ずばり「婚約者マルト」という作品もあった。幸せいっぱいの様子である。

5 子ども時代
ドニはまた自分の家族を多く書いていて、これまた幸せそう。バラ色がよくマッチしている。
一方、ヴァロットンの(何度も見ているが)「ボール」は不安を感じさせる絵である。ボールを追いかける女の子の背後に迫る木々の影、遠くに見える2人の女性があまりに遠く・・・このあと何かが起こりそうな気のする絵である。
ヴュイヤールの連作「公園」。今回の展示の中で一番気にいった作品である。穏やかな公園の風景。この絵がダイニングやリビングに飾ってあったら素敵だろうなあと思う(もちろん大きな邸宅でですけど)。

6 裏側の世界
ドニはプシュケの物語のシリーズもいいのだが(明るい色がいい)、やはり「ミューズたち」。手前にいるのはやはり奥さんマルトがモデル。ミューズというよりは現実の女性の姿に見えるのだが。
ヴュイヤールの「ベッドにて」は自画像とはうってかわって、白を基調とした絵でこれまた印象に残る絵なのだが、お隣にはこの展覧会一の衝撃が!
彫刻家のナビことラコンブの彫刻、「イシス」である。
そもそも見た目的にイシスには見えないところもなんだが、なぜ胸から赤いものが流れてるのか・・・髪は木になってるし・・・

ナビ派の作品がまとめて見られるいいチャンスです。
是非どうぞ。

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