【シャセリオー展】
art-26 【シャセリオー展】 国立西洋美術館
連休3日目は西洋美術館へ。
まずはシャセリオー展。
シャセリオー、といっても知らない人も多いかも?
ワタクシも何かの展覧会に数枚展示されている画家・・・くらいの認識。イメージとしてはエキゾチックな絵を描いた人、というくらい。
日本ではじめてのシャセリオーの展覧会。
フランスでも数回しか回顧展が行われていないというが、なぜ忘れられた画家になってしまったのでしょう・・・
1:アングルのアトリエからイタリア旅行まで
自画像からスタート。
カリブ海の島に、フランス人の父とクレオールの母との間に生まれたシャセリオー。自分の容姿を嫌っていたとのことで、自画像は貴重。
シャセリオーは大変早熟で、なんと!11歳の時にアングルの弟子となり、この子はきっと絵画のナポレオンになると言われたそう。
16歳でサロンに入選。その作品が「放蕩息子の帰還」。すでに、師匠のアングルとは違う方向に向かう予兆あり。右下の黒犬はいったい・・・
「アクタイオンの驚くディアナ」にしても、すでにロマン主義の雰囲気を漂わせている。
2:ロマン主義へ 文学と演劇
ドラクロワなどロマン主義の画家の影響を受け、アングルと訣別したシャセリオーは独自の道を歩みはじめる。この頃、多く題材にとったのは古典文学の世界。
「アポロンとダフネ」はアポロンを嫌って、父に頼んで木になってしまったダフネの物語を描くが、なかなかにドラマティック。ダフネって足元から木になったんだっけ??
モローの「アポロンとダフネ」が隣に飾られていたが、シャセリオーの影響が見てとれる。こういう感じのシャセリオーの作品いいなあと思ったら、ワタクシ、モローが好きだったからなのか・・・
ルドンも影響を受けているとのことだったが、それはどうだろう?ちょっと違うような・・・
ドラクロワの版画連作ハムレットとともに、シャセリオーの連作「オセロ」が展示されていたが、ロマン主義の作風と、シェイクスピアの悲劇はよくあう。
「マクベスと3人の魔女」がまたとてもドラマティック。髪が逆立つ3人の魔女が怖い・・・
「泉のほとりで眠るニンフ」はモデルが当時の恋人だったということもあるが、ちょっと生々しい。
3:画家を取り巻く人々
師のアングルと同じく肖像画をたくさん残しているシャセリオー。
肖像画の描き方を見る限り、アングルの弟子だなあという感じなのだけど。
ポスターになっている「カバリュス嬢の肖像」。当時パリで最も美しい女性とされた女性らしいのだけれど、確かにねぇ。しかし、シャセリオーが描いているのでちょっとエキゾチックな感じも。
意外と気に行ったのが、「アレクシ・ド・トクヴィル」。歴史学者トクヴィルは、シャセリオーと家族ぐるみのつきあいをしており、会計検査院の壁画の発注を後押しした人物らしい。
4:東方の光
シャセリオーといえば、ワタクシ的にはこのイメージ。
アルジェリアを旅したシャセリオーは、異国情緒あふれた作品を生み出す。
アラブの馬、主張、女性たち。
「コンスタンティーヌのユダヤの娘」がいい雰囲気。
ドラクロワ、ルノワールなどのオリエンタリスム絵画もあった。
5:建築装飾 寓意と宗教主題
シャセリオーは、オルセー美術館がある場所に以前あった会計検査院の壁画を制作しているが、パリコミューンでほぼ消失してしまったという。
その後、モロー、シャヴァンヌらが協力し、壁画の救出運動が行われ、その際の記録写真が残されている。これがそのまま残っていたら、シャセリオーの名前もひょっとしたもっと残ったかも??
シャヴァンヌもシャセリオーを影響を受けたとされるが、作風はかなり違うと思われ・・・ただ、構図とか壁画の題材などは共通性があるかもしれない。そして、シャセリオーの最後の恋人(今回も展示されていた「東方三博士の礼拝」の聖母のモデルと言われる)は、シャセリオーの死後、シャヴァンヌの伴侶となっているのである。
モローの「若者と死」は、シャセリオーの死を追悼して描いた絵とのことで、モローがもっともシャセリオーの影響を受けた画家だったのかもしれない。
貴重な展覧会です。
是非どうぞ。
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