ヨハン・テオリン『夏に凍える舟』
本日の本
book-11 『夏に凍える舟』 ヨハン・テオリン著 ハヤカワ・ポケット・ミステリ
STORY:エーランド島の夏。リゾート施設を経営するクロス家の末っ子ヨーナスはある夜、幽霊船を目撃、元船長イェルロフのボートハウスのドアをたたく・・・
☆☆☆☆エーランド島4部作のラストを飾る作品。
春編を読んでから数年、待望の夏編が翻訳された。
このシリーズ大好きで・・・ゆったりとした時間が流れるミステリなので、じっくりと読み進めるのがよい。
今回もかなり分厚かったというのもあるけれど(2段組525頁)、なんか読み終わるのがおしくてゆっくりゆっくり読んだ。
探偵役は1作目から登場している元船長の老人イェルロフ。このイェルロフがいいんですね。枯れていて、達観していて。
どんどん体は衰えていて思うとおり動けないけれど、長く生きたきた人生の知恵で謎を解いていく。
今回は、イェルロフが少年の頃の話からはじまり、ある人物が新しい国へと旅立ち・・・ある目的でエーランド島に戻ってくることから、物語がはじまる。
過去と現在が交互に語られ、次第にこの戻ってきた男が何をしようとしているのか何が目的なのかがわかってくる。
この物語には罪を犯す人物がいろいろと出てきて、この戻ってきた男もそういう人物ではあるのだけれど、この男がどんな人生を背負ってきたのかが次第に明らかになってくると、応援したくなる、というかついつい感情移入してしまう。
なんとも悲しい結末だった。
そして、イェルロフが最後に下した決断にも悲しくなったが・・・
最後の最後、ああよかったなと。
しかし、これで終わりなのが残念。
またいつかイェルロフに再会したいですね。
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