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2017/07/15

【水墨の風 長谷川等伯と雪舟展】

art-31【水墨の風 長谷川等伯と雪舟展】 出光美術館

1707151
先週土曜日、仕事の後に行った展覧会1。
出光で開催中の水墨画の展覧会である。
等伯と雪舟が中心となるが、それだけでなく幅広い展示だった。

第一章:雪舟を創りあげたもの―「破墨山水図」への道
雪舟は中国の画家、玉潤の影響を大きく受けているという。
玉潤の「山市晴嵐図」は激しい筆使いの木々、薄墨で遠景の山、小さく人も描かれていてなかなかに大胆、斬新。
並んで展示されていた雪舟の「破墨山水図」と比べてみると、確かに影響を感じる。大胆な筆使いで。
伝雪舟の「四季花鳥図屏風」もいいですね。梅の木が力強く目立っているが、遠景がぼかすように描かれているのもポイント。
谷文晁の「風雨渡江図」は激しく降る雨と風の表現がスゴイ。この展覧会のタイトルにぴったりの絵。

第二章:等伯誕生―水墨表現の展開
だいたい花鳥図は好きな分野なのだけど、能阿弥のもいいなあ。日本最古の水墨による花鳥図らしい。
サギ、燕、鳩、鵞鳥?などの中に混じって叭々鳥も。
叭々鳥を描いた画といえば、能阿弥が傾倒していたという牧谿の「叭々鳥図」がかわいい。日本にはいない鳥なのだが、この当時日本でも描くのがはやったらしい。
叭々鳥に変わって描かれるようになったのが鴉で、長谷川等伯「松に鴉・柳に白鷺図屏風」で描かれるのも鴉。日本にいない叭々鳥を描くのは不自然ということで等伯が描くようになったとのこと。
この画は、右隻が松の木に巣を作る鴉(季節は春・・・たんぽぽが描かれているので)、左隻が雪のつもる柳と白鷺(季節は冬)で、黒と白との対比も素晴らしい。
等伯「四季柳図屏風」はパッと見、金なので派手かと思いきや、柳が風でそよそよと動く様が繊細に描かれた画だった。

第三章:室町水墨の広がり
呂景玄の「栗鼠図」。竹に2匹のリスがぐるぐる巻きになっている・・・のだけれど、遠くから見たら蛇かと・・・毛の感じはリアル。
伝 一之の「観音・梅図」は真ん中に観音、左右に梅。左は下に垂れさがる梅、右は下から上へ勢いよく伸びる梅で対比がおもしろい。
伝 楊補之「梅図」もまあ似た感じだが、どっちがいいかなあ。迷う。

第四章:近世水墨―狩野派、そして文人画へ
岩佐又兵衛「瀟湘八景図巻」が出ていた。 こういう画(風景画)も描いたんですね。優美な感じ。
同じテーマでは、池大雅の「瀟湘八景図」の方が好みだけれど。
浦上玉堂の「奇峯連聳図」は斬新ですねぇ。抽象画の域に入っている。
岸駒・呉春「群仙図屏風」は楽しい。よくよく見ると、呉春の作風の方がおとなしめな感じ。

水墨画の世界にどっぷり浸れる展覧会です。
明後日で終わりですが是非どうぞ。

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